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専攻科に進学して

国立一関工業高等専門学校

専攻科生産工学専攻2年 東海林 誠

 一関高専の専攻科は平成13年度から設立され、始まってからまだ2年目という、とても若いものです。一関高専の場合、生産工学専攻と物資化学工学専攻の二つがあり、私が所属しているのは生産工学専攻です。生産工学専攻は、機械工学科、電気工学科、制御情報工学科が一つに統合された学科で、いわゆる統合専攻科のため、講義もそれぞれの学科の分野に関連した科目が開講されております。

 私は、機械工学科から進学したので、機械工学的な分野の講義や実験は理解ができるのですが、電気や制御情報工学的な分野は、考えたこともないような概念を必要とする事が多く、大変苦労しました。また、学士の資格を取得するためには文系の単位が足りないので、それを放送大学と呼ばれる通信講座で補っております。通信講座といっても実際にはビデオテープをテレビで再生して講義を行っております。チュータと呼ばれる教官の方もおり、印刷教材もあるのですが、進行が早く中身の濃い講義はとても大変でした。

 普段の講義、放送大学の講義、特別実験や実習を、新しくできた友人らに助けてもらいながらもここまで来ることができました。本科の時には学べなかった分野の学問も学ぶことができたので、専攻科に進学してとても良かったと思っております。

 後期が始まってから数ヶ月経ったこの時期、講義はほとんど無く、日々の大半を研究室で過ごしています。私たちの研究室は精密加工分野を研究しており、主に平面研削盤による研削加工やYAGレーザ加工を研究しております。私の卒業研究は「高硬度鋼材における各種砥粒の磨耗形態」という題で進めております。具体的には、一般砥粒砥石のWA、SGと、超砥粒砥石のcBNの3種類で、主に金型材料に用いられている合金工具鋼SKD11を研削したとき、それぞれの砥石がどのような磨耗形態になるかというのを研究しております。はじめは、良く分からず担当教官の指導のままに進めておりましたが、趣旨を理解し興味が持てるようになってからは、楽しくやっております。

先述のように一関高専の専攻科はまだ始まったばかりということもあり、専攻科生専用の教室や設備がまだありません。そのため、講義は普段使っていない空き教室や会議室を使う事もあります。専攻科棟は来春完成の予定で現在建設中ですが、完成すると5階建てのガラスを多用し、エレベーターが設置されとても現代的なものになるそうです。私たちが卒業するまでには完成する予定で、とても楽しみなのですが、卒業するまでには間に合わないので、後輩がちょっと羨ましいです。

 科目に関しては、カリキュラムやシステムがまだ確立されておらず、自分自身苦労しているところがあります。しかし学生以上に苦労しているのは教授の方々で、専攻科をうまく軌道に乗せようと日々努力しておられます。私も草分け的な存在として、後に続く後輩に同じ苦労をさせないように、専攻科に進学してから今までの経験や学んだことを教えていきたいと思っております。



  

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