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悲しき運命

秋田工業高等専門学校 機械工学科 5年 木元 大寿

 何かの面接で自己紹介をしなさいと言われたら、僕はこう答えるでしょう。高専で所属していた部活動は、中学生の時から興味があったソーラーカー同好会、それと県内有数の実力者達に無理矢理引き込まれた囲碁将棋部です。趣味は魚釣りで、特技は魚の三枚おろしです。長所と短所は・・・。

 長所と短所。僕にとっては非常に答えたくない項目です。長所は本当に言うことがないが、短所なら本番に弱いこと、シャイだということ、そして運が、あらゆる流れが悪いということだと思います。それを高専に入って、5年になって嫌というほど実感しました。

 前々から理解していたことですが、僕ほど本番に弱い人はそうはいないでしょう。テスト期間中に体調を崩すのは当たり前、人前に出れば緊張してパニックになり、ある歌の歌詞と似ていますが、思い出はいつも雨で、受験の時も猛暑、台風、雷雨といずれにせよ悪天候でした。不安が不安を呼び悪循環になることもも多く経験してきた気がします。

 特にそう思うようになったのは5年になった今年です。僕は進学を予定していたので、受験勉強に浸る毎日でした。日に日に推薦組や就職組は決まっていき、取り残されてしまっている気がして集中できないこともありました。それでもただひたすら勉強して、例年の試験問題なら大丈夫だと思えるくらいの自信もありました。・・・が、今年に限って、しかも僕が受験した大学がピンポイントで、入試問題のレベルが一回りも二回りも難しくなっていて、合格した大学もありますが、本命は悲しいことに撃沈してしまいました。

 追い討ちをかけるように、ソーラーカーの大会では、低学年のミスとドライバーのミスとが重なり(低学年にセッティングや検査など重要部分を任せた僕のミスもあるのですが)、2年の時から同好会の会長をやっていたのにも関わらず、ソーラーカーに乗らずに大会が終了してしまいました。また、僕が引退してから同好会が部活に昇格していました。僕が会長の時には本当にあと少しの所で失敗してしまいましたのに。将棋部の方では、僕が参加できなかった全国高専将棋大会では団体優勝しましたが、最後の大会、秋の東北大学大会で僕は反則負けという最悪な終わりかたをしてしまい、後悔が残っています。

 こんな僕は不必要な人間なのではと思うこともしばしば。ただ、クラス内では、宿題を解いては回す、レポートを書いては回す、ノートを写しては回すとクラスの留年者を出さないための必要不可欠な役割を担っており、良い事とは思えないが貢献しているのかなぁと思うこともできます。

 高専ではクラス替えもなく同じメンバーで5年間も過ごすので、多くの人と出会う機会は絶対的に少ないけど、ほとんどの人と深い付き合いになり、様々なことを教えられて成長したと思い、本当に良い時間過ごせたと思います。来年度からは離ればなれになるわけですが、高専生活で学んだ事を生かせるかどうかは自分次第ですから、いかに僕が不運でも、いずれ運をも超える実力がつくことができるように、前向きに頑張っていくつもりです。

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