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チームおれにも打たせろ!

山形大学工学部 機械システム工学科 4年 志鎌 隆広

 私は現在本学部のサークルのバレーボール愛好会に所属して週に一度、サークルの仲間達と楽しくバレーボールをしています。私達のサークルは経験者、初心者に関わらず参加できるサークルです。全体の半分以上が初心者なので誰でもバレーボールを楽しむことができます。

 しかし、そんな和やかな雰囲気とは別に、違う一面も持っています。バレーボール初心者が半分以上を占める中、その中からやる気のある人を集めて6人のチームを作り、厳しい練習にも取り組んでいるのです。今年は毎年、米沢市で行われている社会人ナイターバレー大会にも参加し、見事優勝することができました。決して大きな大会ではないのですが、私たちが自ら練習の時間を作り、そして自分達で練習を行ってきた成果だと考え、その結果にメンバー全員が誇りを持っています。

 しかし、最近、どうしても勝てない相手が現れたのです。それは、本学部にあるもう一つのバレーボール部です。今までに何度か練習試合を行ってきましたが、いつも負け越すばかりでした。負けず嫌いが多い私達は、今までの練習を見直すことにしました。それは、練習のどこかにまだ自分達に甘さがあると考えたからです。それからは、練習の始めと終わりには全員でその日の練習について話し合うようして、自分達に厳しい練習を行うことにしました。

 打倒バレー部を合い言葉に、一人一人がそれぞれ課題を持ち練習を重ねてきた約1ヶ月後、私達は再びバレー部に試合を申込みました。今まで、厳しい練習をしてきた成果を出せば、きっと勝てると信じて望んだバレー部との試合、結果は5対1と今までになく惨敗となってしまいました。これまでの練習はいったいなんだったのか、バレー部より厳しい練習をしてきた自信があっただけにどうしようもない脱力感を感じ、いつものようにどんよりとした雰囲気で何処がわるかったのか話し合いを開きました。技術的、精神的に改善すべき点が何点か挙げられましたが、今までになく精一杯やってきた私達にとってはあまりしっくりくるものではありませんでした。しかし、話し合いを続けている間にバレー部と私達のチームとの違いに気付いたのです。それは、私達が真面目に精一杯プレーしているのに対して、バレー部の様子を見ていると楽しくのびのびプレーしているという点でした。バレー部はメンバー全員が4年生で、大学入学時から今まで一緒にバレーボールを続けてきた、とても仲の良いチームでいつもバレーを楽しんでいる様子がわかりました。その時、私達に足りなかったものが初めてわかった気がしました。

 私達はそれまで、ただ一生懸命取り組んでいれば良いと考えていました。その考え方が逆に私達のプレーをぎこちなくしていたのだと思います。バレーボールを楽しんでのびのびプレーすることが私達には足りなかったのではないでしょうか。それからの私達はもっと楽しくバレーをすることを心掛けています。コートの中では先輩、後輩関係なく声を掛け合い、笑顔の見られる練習風景へと変わっています。私達の練習は誰かにやらされているものではありません。自分達でやろうと決めた練習なので自分達で厳しく、そして私達の好きなバレーボールを楽しむことをこれから大切にして行きたいと考えています。

 バレーを楽しくやろうと考えた私達は「バレーボール愛好会」だったチーム名を変えることにしました。その名も「チームおれにも打たせろ!」今度はなんとなくバレー部に勝てそうな気がします。

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