目次へ戻る   

この5年

福島工業高等専門学校 機械工学科 5年 涌井佳祐

  私がまっとうな動機、不純な動機それぞれを持ちながらこの高専に入学し5年。もうすぐ卒業です。その時々は「長いな〜」と思っていたかもしれませんが、今になるとすべては過ぎたことで結構早かったような気がします。私の今までの人生を5年ごとに区切ったとすると、この5年が最も内容があったのだと思います。それ以外が空なだけかもしれせんが…。

  中学を卒業し、親元を離れたった一人でこの学校にやってきました。私は元が内向的で悪い方悪い方へと考える暗い人間なので、新しい生活への不安や逡巡など、いろいろ悩んでいたと思います。ですが、今まわりを見てみると結構友達とかもいたりするのでそんなのは単なる杞憂だったようです。

  この5年間にはいろいろありました。あったと思います。面白かったこと、「なんだかなぁ」と思うことなどいろいろです。面白かったことの度が過ぎ停学にもなりました。まぁいい思い出ということで。あと学級委員長を5年間やってしまったのも痛いというかなんというか・・・。1年の初めに担任から「委員長ね」と仰せつかり、学年が上がると「涌井でいいよもう」と面倒くさそうにクラスメイトから言われ、ここ3年ぐらいはそんな議論すらせずに流されてきました。しかし私は適当な人間で、委員長の仕事はろくにやっていません。クラスで何か決めるにしてもなあなあでした。でもこのクラスにはそんな感じが合っていたのかなぁと勝手に思ったりもします。まじめに取り組んでいたら体も心も持ちません、この問題クラス。数少ない委員長としての仕事は、授業のはじめとおわりに「きりーつ、礼」と言うことでしょうか。1日に大体6回この台詞を言っているとして、授業のある日は1年に約150日、それを5年ですので4500回ですか、結構言いましたね。

  高専生活のメインイベントはやはり卒業研究なのでしょう。この1年、それまで学んだことを総動員し、さらに必要とあらば英文の書物でもなんでもひっぱり出し勉強して研究に当たってきました。この卒業研究というものは能動的な行動ですので、楽しいものでした。その分失敗したときの落胆は大きいですが。卒業研究で学べることは学術的なことばかりではありません。指導教官や協力してくださった技官の方々との対話を通して、研究者というか人間としての心構えなどたくさんのものを学び吸収できたと思います。

  この5年で、私はいくらか成長し変われたと思っています。ですが先日成人式に行って、5年ぶりに合う中学時代の友人に「お前変わってねぇな〜」と言われました。まぁ外見はそれほど変わってないにせよ内面は何回りか変わったはずです。でなきゃこの5年はなんだったということになってしまいます。

  私の学びの道はまだ続きます。大学に編入するので最低あと2年、希望としては大学院までのあと4年でしょうか、もっと続くのかもしれません。その間に少しずつでもいいので成長し、社会にとって有用な人間になれたらと思っています。とりあえずは身の回りの整理ぐらいできるようにしたいです。

目次へ戻る