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これからの高専教育への期待

秋田工業高等専門学校専攻科 生産システム工学専攻 2年 石井 優


  私が高専に入学した理由は,「科学が好き」,「専門的な技術を身につけたい」ということもありましたが,一番大きかったのは5年間の一貫教育という点でしょう.大学入試の勉強が必要ないから楽ができるという事は別の観点からとらえると,他校の生徒が受験勉強にさく時間で受験勉強では学べない専門知識の理解を深める事ができるという事でもあったからです.機械工学科を卒業後に同じ学校の専攻科へ進学したのも同じ理由です.他大学への編入学といった道もありました.勉強環境を変えることで得られることは多いでしょう.しかし,環境を変えないことによる不利益よりも同じ環境で本科の延長線上にある発展的な講義を受け,継続した研究を行えるという利点が優るという考え方もできた訳です.

 さて,私が見てきた過去7年間の秋田高専を振り返ってみたいと思います.この間にはさまざまな変化がありました.思いつく事を挙げると,第一に校舎の改装工事でしょう.第二は秋田高専の法人化です.第三に挙げられるのは,JABEE認可へ向け,授業時間や試験の合格点,カルキュラム等の刷新が図られた事です.この様に,大きな転換期の中で現在,教育内容,及び研究内容の更なる質の向上が強いられている様に思います.この事はより充実した教育を受けられるという点で学生にとって有益なことであると考えます.

 高専の学生に欠けている点として,英語力に乏しい点と,研究の取り組みへの自主性が欠けているという事をよく耳にします.この最重要課題を解決するためにもこの改革は威力を発揮すると期待しています.また,いわゆる理科離れにより,現在の中学生は科学技術への興味が薄れ,例えば,パソコンなど情報系へ興味が移っている様な印象を受けます.この様な学生側のニーズの変化にも対応し,学生が入学当初から自分の将来の目的をはっきりと持ち,また,その目的を持たせるための環境作りも重要であると思われます.

 これからは,高専でなければ不可能な一貫教育に加え新たな教育プログラムの中で質の高い教育がなされることでしょう.今後,秋田高専から国際的に通用する多くの優秀な技術者が輩出され,彼ら,彼女らが日本機械学会での活動を通して活躍し,社会に貢献することを期待します.

2006年1月




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