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百聞は一見に如かず、百見は一触に如かず

鶴岡工業高等専門学校機械電気システム工学専攻1年 樋口国孝

  私の所属する研究室は、"流体"を専門とする研究室である。当然、機械系である。私は高専の本科(5年間)では制御情報工学科に所属し、製図であったり旋盤であったりと言う、"モノづくり"といったことに触れる機会が少なかった。主にプログラミングなどを学習してきた。本格的に"モノづくり"に関わったのは5年時の卒業研究からであった。私のメインテーマは本研究室が提案する水車"オープンクロスフロー型マイクロ水車の特性改善"であったが、モノをつくる基本を学ぶため、ソーラーカーの製作に携わった。自分たちが乗車することを想像しながら、軽量かつ頑丈に、そして快適になるように知恵を絞りながらソーラーカーを製作した。この経験が今となればとても大きく感じられる。
 指導教官が、常々口にする言葉の一つに"まずは現場をしること"と言う言葉がある。現場を知らないが故に生じるミス、現場を知らないが故に起きる大事故が最近多いという。考えてみれば、実験装置を作るにしても、メンテナンスを行うときに"こうしておけばよかった"といったことが度々ある。それが、指導教官が言う"現場をしること"に繋がるのだと思う。これが知らないが故に生じるミスであるのだと実感した。では、どのようにして防ぐことが出来るのだろうかと考えた。現場をしることも大事であるが、現場を知っただけでは防ぎきれない部分があると思う。先に述べたソーラーカーの経験から言えば、"自分がすることを想像しながら"ということも重要になってくると感じる。メンテナンスに関しても自分がメンテナンスを行うことを想像していなかったために、後にミスに気づく結果となったのだと思われる。常に自分の立場になって考えることも重要だ。
 もうすぐ、本研究室に入って2年が経つ。2年足らずの研究で"流体が専門です"と胸を張って言えるほどではない。社会には何年以上も流体を専門としてきた方々が大勢いる。その方々に比べたら到底足元にも及ばない。しかし、今エンジニアのたまごとして、社会にでて少しでも社会に貢献できるエンジニアになるため、今出来ることを一生懸命頑張っている。
 最近、本研究室にはこんな言葉が掲げられている。

"百聞は一見に如かず、百見は一触に如かず"


 百聞は一見に如かずとは、何事も自分のめで確かめることが大切である。百回聞くよりも一目見たほうがよくわかるという意味である。さらに、百回見るよりも一度触ったほうが、もっとよくわかるというのがこの言葉の意味である。指導教官が、常々口にする言葉"まずは現場をしること"はこの言葉に凝縮されているのだと思う。この言葉を胸に、一人前のエンジニアになれるように、今を大切に、そして一生懸命生きたい。


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