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インターンシップを振り返って

山形大学大学院 修士1年  石坂 拓巳

  2005年夏,私は3週間あまりの日程である材料メーカのインターンシップに参加しました.今,改めて数ヶ月前の体験を振り返えるために実習中に残してきたメモの数々を読み返してみると,インターンシップでの日々が鮮やかに脳裏に甦ってきます.
 初日,工場内を見学させて頂いた際に目にした設備の大きさに圧倒され,設備の大きさには似合わず繊細に制御されて製品が産み出される様子をみて,すばらしい技術だと感動したのをまず思い出します.また,研究員の方達が常に手帳を持ち歩き,事あるごとにそれを繰る姿には時間の制約が仕事には付きまとい,限られた時間で結果をアウトプットしなければならない社会の厳しさを垣間みました.インターンシップでの大半の時間はまさにこうした驚きと感動に満ちていました.
 同時に,実習を通して強烈に意識させられたことがあります.それは体験することの重要性です.実習中に私の大学における研究に関して関連の深い実験を行う機会がありました.その実験を通して,今まで文献や書籍等から理解しようと努めて果たせなかった原理や理論が一気に明瞭になる経験をしました.体験する事で得られる知見の質は,座学で得られるものの比ではないと感じる契機となり,やってみることの重要性を再確認することができました.私の場合,大学の研究が多くの点でインターンシップ実習内容と関連していることは非常に恵まれていたと思います.私は今まで,自分の研究が社会的にどのような意義があるのか漠然としか見えていませんでした.しかし,実習を通して自分の研究の延長線上に存在する様々な応用例や有効性を肌で感じることが出来,今後の研究に一層の情熱を持って望めると思います.
 インターンシップ先のテーマが自らの研究と関連せず,専門とかけ離れていてもインターンシップに参加することの意義はおおいにあると思います.なぜなら実習を通して社会に出る前の学生の間に準備すべき多くのことに意識が向くからです.例えば,私が感じたことに書類作成能力の重要性があります.迅速に,かつ簡潔に仕上げなければならない書類作成の作業には,慣れが必要である側面以上に技術がものを言う作業であることを痛切に実感しました.今挙げたこと以外にも意識させられたことは多くありますが,それらはいずれも研究室に留まっていては芽生えることはなかったことでしょう.今後,芽生えた意識を育み形にするべく積極的に行動していくことを残りの学生生活,そして研究生活の目標に掲げて日々精進していこうと思います.



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