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山形大学工学部白楊寮にて

山形大学大学院 修士1年  北村 広之

  山形大学工学部には、白楊寮という学生のための寮がある。この寮は自治寮であり、全寮生が協力して寮の運営を行なっている。掃除や備品の管理だけでなく、共同生活する上でのルールも寮生が話し合って決めている。現在は、約130名の寮生が生活している。
 私は学部2年次の米沢キャンパス移行に伴い、この白楊寮へ入寮してきた。入寮を決めた理由は、経済的な理由もあったが、「自分自身を鍛える」という理由の方が大きい。アパートでの一人暮らしから、二人一部屋という共同生活へと生活環境を変えることで、「自分自身の人間性を磨けるのではないか」と考えたのだ。4月に入寮してすぐに、新入寮生歓迎会が行なわれる。委員会、協議会といった寮運営に関わる重要な役職のことから、日常生活におけるルールなどを一通り学ぶことで、白楊寮とはどのようなものかを理解する。そして、新入寮生歓迎会に始まる各種イベントでは、お酒を飲む機会が増えてくる。これらのイベントを通して、寮生同士の親睦を深めるだけでなく、先輩から飲み会でのマナーを教わることができる。さらに、半年ごとに全寮生が参加する、寮生大会という重要な会議が行なわれる。この会議では、半年間の運営内容の反省および今後の方針を話し合う。130名も寮生がいると、素朴な質問や、厳しい意見などが多く飛び交うため、長時間の会議になることもしばしばある。しかし、ここでの決定が寮生活に直接反映するので、真剣に考えて結論を出すことが必要である。
 上記のような白楊寮での生活を通して、人前でも臆することなく自分の意見を言えるようになり、人との付き合い方についても学ぶことができた。先輩からは大学生活だけでなく、日常生活についても数多くのアドバイスをいただいた。また、いっしょに騒いでくれる同級生、後輩もたくさんできた。寮生の繋がりがあったからこそ大学生活を実のあるものにできたと思う。私は白楊寮への入寮を決めたことが、人生の分岐点だと感じてならない。あと1年間、大学院生として白楊寮にお世話になるが、私が卒業した後も良き伝統を引き継いで、自治寮として存続していってほしいと願う。
 最後に、もしこの文章を読んで、「白楊寮で生活してみよう」というやる気のある学生が一人でもいてくれれば非常にうれしく思う。そのときにはぜひ一度白楊寮へ足を運んで頂きたい。



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