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「登山の魅力」

東北大学 工学部 機械知能系工学科4年  村田 直一


  「サークル何やっているの?」と聞かれ,「山岳部だよ」と返答すると,大抵は「凄いね」,「大変じゃない?」,「危なくない?」,「あのリポビタンDのCMみたいなことしてるの?」と言われる.確かに大変だし,危ないが,決して大塚製薬のCMみたいなことはしていないと思う.
  山岳部に入った理由は,謎だ.決して,海外遠征をしたいとか,凄いことしてみたいとか,山が好きだとか,そんな理由はなかったと思う.多分,なんとなく体験入部したら,そのまま,居ついてしまったのだろう.
  なんで,登山しているのかは,さらに,謎が深まる.一般的に山を登る理由として,考えられるのは景色が綺麗だとか,頂上に登ったときの達成感などが上げられると思うが,私の場合は決してそんなことはない.景色なんて,1度見れば飽きるし,頂上に到達した直後には既に帰りの心配をしている.登山はキツイ,汚い,危険の3Kが見事に揃っている.自分も何度かヒヤッとしたことがある,直径50cmくらいの岩が落ちてきたり,大きな氷の塊に当たったり,雷雨の中,尾根を歩いたり,雪山で滑って50m位滑落したこともある.さらには,一度軽い遭難を経験し,定期試験を受験できなかったこともあり,色々な人達に迷惑を掛けた.もし「〜」だったら,と考えると,多分,自分はこの世にいないと自信を持って言える.しかも,登山装備用品や,交通費とかに結構なお金も掛かる.登山中には,この登山でバイト代を貰べきではないかと思ってしまう位,心身ともにキツイことも多い.自分の意志で行動しているのにも関わらず,振り返ってみると登山を続けている意味が分からん.意味不明だ.気苦労ばかりで,将来絶対禿げると思う.
  ネガティブなことばかり書いてしまったが,山岳部活動を振り返っても,思いつくのはこんな感じだ.登山の魅力は何?と問われると,結局のところ,登山の魅力は1枚の写真に集約されていると思う.上手く説明はできない.多分,今は山に行きたくないと思っていても,きっと,また,行きたくなるのだろうな・・・・・.


<日光白根山頂にて>

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