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羽根板のプレス加工のFEM解析とシミュレーション

いわき明星大学

理工学研究科 物理工学専攻 修士2年 加藤 篤史

  気体・液体・粒状の物質の輸送機械,タービン,ポンプ等にはスクリューが使われる.金属スクリューの羽根板はプレスでの曲げ加工で成形するのは多い.現在の羽根曲げ加工は製品の仕様に合わせて簡易金型を製作準備し,熟練工による加工が一般的である.図1に示すように,円孔と開口を開けた平円板から2対の傾斜パンチとダイでの塑性変形により,羽根板が製作される.二つのパンチ(またはダイ)の配置なす角を30度とした場合,円板を30度ごとに回転してプレスすると,1枚の羽根板が出来上がる.羽根板のピッチはパンチとダイの傾斜角度の調整で変える.複数枚の羽根板を心棒に組立て溶接すると,スクリューになる.
  本研究では,潟Tカエ鉄工所および鞄本スライスセンターの「簡単に,誰でも,安全・安価に出来る羽根板曲げ加工機を開発する」プロジェクトの技術支援として,羽根板曲げの理論的考察および3次元有限要素法(FEM)解析とシミュレーションを行った.具体的には,羽根板のピッチとパンチおよびダイの傾斜角度等の依存関係を究明するために,安価で接触問題計算に強い汎用FEM解析ソフトMSC.Marcを用いて,マルチボディのコンタクト(接触)の問題として図2に示す羽根板の曲げ成形解析モデルを作成し,その成形挙動,変形量,応力分布,残留応力,スプリングバック等を解析し,羽根板のピッチとの関係を調べた.計算結果はプレス実験結果とほぼ一致し,羽根曲げ加工機の設計に応用された.


図1 羽根板のプレス実験          図2 プレス加工のFEM解析


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