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出会いから得たもの

弘前大学

理工学部 知能機械工学科4年 今 悠紀

  私の大学生活は新たなものとの出会いの連続でした.まず新たな環境です.青森市にある実家を出て,弘前での生活が始まりました.道は分からず,バスなどの交通機関の仕組みもあまり分からず,戸惑うことだらけでした.入学式の帰り,大学へ向かう道で早速迷ってしまい泣きそうになりました.
  次に新たな人との出会いがありました.学科は60人前後いますが,知っている人が中学校で一緒だった友人一人しかいなかったので,友達が作れるか不安でたまりませんでした.しかし,学科で行われる少人数制の基礎ゼミナールといわれる講義が始まると,学籍番号の近い人とすぐ打ち解けることが出来,彼の友人つながりでまた多くの友達が出来ました.特に仲のよかった四人のグループで,学食で授業の空き時間にトランプをしたり,たわいの無い話をして,楽しく遊んでいたことも,今となってはバカやっていたなぁなんて笑える思い出です.さらに,大学生になってからはアルバイトもするようになり,自分より年上の人々との出会いも増え,そこでの経験が,就職の面接でとても役に立ちました.わたしは,これまでに四つのアルバイトを経験しましたが,全部接客の仕事でした.サービスを提供する立場である私が,お客様として来店した方々から多くの経験をさせていただき,本当にありがたいことだったと感じています.月並な話ですが,それらの経験から,年上の話は聞いておいて損はなく,得るものがあるものだと思いました.
  最後に新たな学問,知識との出会いです.知能機械工学科に入り,最初は高校で習った学問の復習の積み重ねでしたが,学年が上がるにつれ機械力学や材料力学,また熱力学や流体力学など今まで全く学んだことのなかった勉強をするようになりました.これらの学問を学ぶと,改めて身の回りの“機械”のすばらしさや,設計者の苦労を知らされます.三年の後期に,製図の講義で電動ウインチの設計をするのですが,図面におこして,CADに描くだけなんて簡単なものではありませんでした.荷重の計算から,その材料が耐えうるかも計算し,もし何かの部品が変わると,全部の荷重計算からやり直ししなければならないなど,完成品からでは予想も出来ない苦労の積み重ねで,やっと小さな電動ウインチは完成していました.この作業をしたときに,「あっ,やっぱり自分に技術者は向かないな・・・.」と思ったのは内緒です.私自身も理系の学部に所属する人間ではありますが,理系の道に進む人間には,新たなものを生み出すことに感激し,そのためなら時間や労力を惜しまない,地道な忍耐型の性格が向いており,私はそのような性格の人間ではなかったようです.とはいえ,新たな知識に感動し,多くを知りたいという探究心は人並みにはあったようで,初めて学んだことに感動しっぱなしでした.
  理工学部に進んで思ったことは,将来技術者や研究者などの道に進むかは,理系のセンスと思考を持っているかどうかとは関係なく,その仕事に向いた生き方をできるかなんだということと,決して学問は無駄にはならないということです.私はこの後,行政系の公務員になりますが,今の町づくりには,先ほど述べたような知識や経験を持つ人が必ず必要になりますし,私は理系である自分,またそのような勉強をしてきた自分を資本とし,行政の場に赴くつもりです.自分が,行政という文系中心の世界と理系の世界の架け橋になれたらなんて,調子にのったことも考えています.
  これまで述べてきたようなことはあくまでさわりの感想でしかないですが,理工学部に入ったことは誇りであり,これからもそこで学んだことを大切にしていこうと考えています.よくまわりの友人に馬鹿にされるのですが,もう一度言います.ここで学んだことは絶対に無駄にはなりません.無駄になる知識など無いのです.その知識を活かせるかが個人の能力なのです.
  最後に私の大学生活の支えとなってくれた,先生方や友達,全ての人に感謝の意を申し上げます.本当にありがとうございました.そしてこれからもよろしくお願いします.

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