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楽焼工芸同好会

東北大学

工学部 機械知能・航空工学科 4年 中平 航太

  私は大学の陶芸サークルに所属している.陶芸を始めたきっかけは単に珍しかったから.体験学習のような形で陶芸に触れたことがある人はいるかもしれないが,大学のサークルとして陶芸活動を行っている人は少ないと思う.そういった珍しさから陶芸を始めて,今では4年が経とうとしている.4年が経つといっても勉学の合間に活動している上に,陶芸は「菊練り3年ろくろ10年」という言葉通り,技術の習得には時間がかかる.そのため,腕前は素人に毛が生えた程度で湯呑や茶碗といった小物を作るのが精いっぱい.そんな状況ではあるが,一介の陶芸家である.
  陶器ができるまでには非常に手間がかかる.完成するまでに,成形→乾燥→素焼き(土を焼き固める)→施釉(上薬を掛ける)→本焼き(上薬を溶かす)という工程を経るのだが,その全てが一発勝負でやりなおしが効かない.特に焼きの工程は1000℃以上の炎で何十時間も焼くため,温度や時間はもちろん,酸素量,炎の当たり具合,上薬の濃度や掛かり具合などが複雑に影響しあい,どんな作品になるかは完成してみないと分からないという曲者ぶりである.
  しかし,こういった苦労を乗り越えて完成した作品を見たときに得られる達成感は何物にも代え難いものがあり,陶芸の一番の醍醐味と言っても過言ではない.作った作品を自分で使うとなると一層愛着も湧くもので,今では頻繁に食卓に並んでいる.
  大学を卒業してしまうと設備的な面で陶芸を続けていくのは難しいだろうが,それならば老後の楽しみに取っておこうかとも思っている今日この頃.みなさんも機会があれば陶芸を体験してみてはいかがでしょうか.


サークルで作った陶器たち


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