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日本一低い山付近でのレース

東北学院大学大学院

工学研究科 機械工学専攻 菅原健太郎

  海抜0m以下の干拓地で真夏に行われる世界大会は、今年で19回目の開催となった。

 私たちの車両は現在2位を走行している。表彰台圏内を走行しているが2位では満足できない。 ライダーは、テッペンを取るために、孤独にひたすらペダルをこぎ続けている。過去を振り返るとこ の大会発足時から出場し、このマシンで総合優勝も得ている。その後、沈黙の期間もあったが、再び 表舞台に登場してきたのである。このレースがこの地で始まった頃、私はまだ鼻水たらして朝から晩 まで遊びまわっていた時である。私自身は今年で2回目の参加であるが、今年こそは老朽化した車体で も表彰台のテッペンに上がれるのではと期待に胸を膨らませている。去年は、前日に行われる車検中に タイヤをバーストさせ、レース中もライダーのアシストを行なうモーターの駆動回路を焼損してしまう というトラブルがあった。そのために、完走はしたものの結果は不本意なものであった。今年は回路を冷 却するために、流れ場の解析と冷却ダクトの設置、ローラー上での走行試験とサーモグラフィーによる 制御素子の温度測定など、これまで学んで来た機械工学を生かした車体の改良と試験を行い、再挑戦であ る。その甲斐もあって前日の車検からレース開始まで大きなトラブルもなく順調で、夜のビールも美味し くいただけた(やぶ蚊による被害は甚大だったが)。レースの方は2位のまま最終ラップに入った。ピット で最終ライダーに乗り換え追走体制に入った・・・が、しかしピットの出口でパンク!直ぐにチューブを 交換し、再スタート。その間に順位は4位に後退。痛いトラブルがここで起きてしまった。回路も焼損せ ずにバッテリにも余力が残っている。ここでラストスパートによる逆転というシナリオは絶望的となって しまったのである。そんなことを思っている間もレースは進行している。結果はライダーの汗だくの頑張 りもあり3位でゴールラインを超えることができた。これでなんとか表彰台に上がることができたのであ る。結果的には去年よりも高い順位でレースを終えることが出来た。次の20周年記念大会こそ、久しぶり のテッペンである優勝を勝ち取りたい。なお、このレースは秋田県大潟村で開催される「ソーラーバイシ クルレース」である。




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