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東日本大震災の被災地見学を終えて

鶴岡工業高等専門学校

機械工学科 5年 余語麻瞳香

  2012年3月某日、東日本大震災の被災地である東松島市、石巻市、南三陸町を見学する機会がありました 。震災があってから1年半以上が経過した現在、当時はあんなにも多くのマスメディアが被災地の状況を取り上 げていたのに対し、最近ではほとんど見ることがなくなったように思えます。

 震災の被害をほとんど受けなかった私たちにとって、日常生活になんら変わりはなく、「とても悲惨な震災が あった」という事実を頭では理解しているものの、時間の経過とともに被災地への関心や認識が徐々に薄れてき ていることもまた事実です。そのため、実際に被災地を自分の目で見て、現状を再確認したことが、私自身の気 持ちに対して少なからず変化を与えてくれました。

 東松島庁舎を訪れた時、様々な団体や地域からのたくさんの応援メッセージが目に付きました。桜の木や、 大漁旗などになぞらえた本当にたくさんのメッセージから、多くの人の繋がりや絆を感じました。被害状況を説 明してもらい、震災から1年が経った時点でも行方不明者、身元不明者がいるということを聞き、衝撃を受けまし た。

 その後仮設住宅や実際に被災した土地を見学しました。市街地は復興が進んでいて、道路や街並みも何事 もなかったようにも思えたのに、市街地から少し離れたところではなにもない更地が広がっていました。津 波により流された漁船や崩壊した家屋、膨大な瓦礫の山を見てことばが出ませんでした。

 海沿いの町の状況はもっと悲惨で、津波は、「当たり前」「いつも通り」「日常」といったものをすべて飲み込 んでしまったのだということを実感し、改めて自然の驚異を思い知りました。

 また、街中の至るところで見かけたとても印象深い言葉があります。

 「復興支援をしてくれる皆さん、ありがとう」という言葉です。きっと被災した方々は、周囲に気を配ることな んてできないほどずっと辛い思いをしているのに、感謝の気持ちを忘れていないということに心を打たれました。 これに対して、現在なんの不自由なく日々を過ごしていられる私は何かしてあげられているのだろうかと疑問が浮 かびました。被災地を見学したことで、今でもそこで強く生きている人々がいるのだということ、その人たちの生 活を支える上で、まだまだ多くの課題や問題があるのだということを知りました。「震災の被害」は、一年半以上経 った今でもまだ続いているのだと思います。

 言葉ではいくらでも心配することはできても、本当に必要なのは今後も東日本大震災を風化させることなく、多くの 人が現状を理解し、少しでも継続して支援を行っていくことではないかと感じました。私は、この貴重な経験を糧にし て、自分にはなにができるのかを考え、実行に移せるように積極的に行動していきたいと思います。


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