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日本弓

いわき明星大学 大学院

理工学研究科 物理工学専攻1年 東海林 創

私は,弓道の指導法の模索や日本弓(和弓)と使用者の親和性を検証するために,日本弓の運動解析を行った。ちなみに私は,弓道は初心者どころか経験皆無であり,話を持ちかけられたときは,面白そうだからという理由でやることとなった.
日本弓は,使用者と道具との親和性が必要であり,それは人の経験によっても変化する.例としては,初心者はカーボンファイバーやグラスファイバーといった弓が使いやすいと感じる人が多いが,上級者は竹弓が良いという人が多い.その為,人の体形や進捗状況に合った教授法の模索が重要となるので,その基礎研究として,弓本体の振動を検証することを目的とした研究を行う.
概要としては,日本弓を引き絞った状態で固定し,矢を番え,矢を射た時の弓の動作をハイスピードカメラで撮影するというものである.そして今回は初期段階として,手首の親指方向(尺屈)と小指方向(橈屈)への動きを再現し,その動きを固定した場合と自由にした場合の日本弓の上端(末弭:うらはず)と下端(本弭:もとゆはず)の動きを岐路記して比較する.
手首の動きを固定した弓は,上下端の動きが逆位相となり,矢の当たる位置もばらつきがあり,取り付けた部分への反動による振動・影響も大きい.逆に手首の動きを自由にした弓は,上下端の動きが同位相となり,矢の当たる位置が安定し,弓の反動も少ない.
つまり弓を持つ左手は,力を入れすぎないように注意したほうが良いのではと考えられ,その力学的根拠となると考えられる.同様に弓道の動作をすべて再現できるようになれば,日本の伝統的な武道である弓道についても,力学的に検討することで,その指導法や道具との親和性を検証することができ,初心者の上達を手助けできるのではないかと思える.





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