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『登山と温泉と皮下脂肪』
東北大学 堀内真之介

 「登山して温泉に入れば痩せる!」

 久しぶりに会った先輩の一言は、先輩が一年前と比較して随分スマートになっていたからか、妙に信憑性がありました。今夏、インターンシップで兵庫に赴いた時、社会人として既に企業で働いているサークルの先輩と連絡を取り、食事した際のことです。話の流れは忘れましたが、ふいに私が最近太ったということを口走ると、先輩はこの一言を皮切りに『登山温泉ダイエット論』を語り始めました。
内容は以下のようなものでした。

 まず、脂肪には内蔵脂肪と皮下脂肪があり、内蔵脂肪は空腹時にエネルギーとして燃焼されるため、食事制限で容易に減らすことができます。やっかいなのは皮下脂肪です。皮下脂肪はエネルギーとして燃焼されるためにあるのではなく、体の保温的な役割を担っているため、食事制限だけでは減らすことができません。食事制限で新たな脂肪がつくのを防ぎつつ、皮下脂肪を燃焼する必要があります。皮下脂肪を燃焼するにはいくつか方法があり、まず、有酸素運動です。心拍数を上げ、呼吸を増やし、体に多くの酸素を取り込むことで脂肪が燃焼されます。また基礎代謝を上げるのも一つの方法です。基礎代謝とは生命を維持するために体が一日に消費する最低限のエネルギーのことで、筋肉量に比例します。つまり脂肪を燃焼させるには有酸素運動を行い、筋肉量を増加させる必要があるということです。そして、この有酸素運動かつ筋肉量の増加に、登山が適していると先輩は言います。確かに登山中は有酸素運動であり(このときの消費カロリーはウォーキングの約3倍)、かつ人間の体で最も大きい脚(太もも)の筋肉を鍛えることができます。このような点から登山が脂肪燃焼に適していると考えられます。先輩はさらに温泉に入ることも効果があると言います。体の疲れを癒やすだけでなく、湯に浸かり体の温度を上げ、さらに血行を良くすることで代謝がよくなり、脂肪燃焼を促します。また、山には温泉がつきもので、登山口の近くに良い温泉がたびたびあります。よって登山による脂肪燃焼、筋肉増量→温泉による脂肪燃焼という一連の流れが出来上がり、効果的に脂肪を燃焼することができるというのが『登山温泉ダイエット論』です。

 「これは確かにダイエットに向いているのかもしれない」というのがこれを聞いたときの正直な感想です。興味が沸き、自分でも登山とダイエットに関して調べてみるといくつかの文献を発見できました。そしてもう一つ登山がダイエットに向いている理由として、運動時間が挙げられるということを知りました。運動開始後15?20分は筋肉中のグリコーゲンが燃料となり、脂肪が燃焼するのはその後だそうです。登山は一度山に入ってしまったらなかなか運動をやめることができないので平均的な運動時間がとても長く、脂肪燃焼に向いていると言えます。
 私はこの『登山温泉ダイエット論』を試して、7 kgの減量に成功しました!と言いたいところですがまだ実行していません。仙台ももう冬で、実行できるのは来年の春以降になりそうです。(実行すればいいですが)これを読んでいただいた方も最近おなか周りの脂肪等、気になってくる年齢ではないでしょうか。是非、この方法を試して頂いたら幸いです。




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