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大学でのサークル活動

東北大学 工学研究科
平山 憲太

 私はもとより運動が苦手で、文化系の部活の中でも吹奏楽部に入ったり、エレキベースをかき鳴らしたり、音楽に触れてきました。大学に入ってからは何の因果か、全く弾いたことのない鍵盤楽器を演奏するサークルに入りました。その鍵盤楽器は全部で3段鍵盤があるエレクトーンという楽器で、プロのパフォーマーや経験者の人たちは両手両足を縦横無尽に動かして、一つの曲を一人で演奏してしまうのです。加えて、シンセサイザーのようにいくつもの音色があり、いろんなジャンルの演奏ができるというのです。そんな説明を受け、無限の可能性を感じて入ったのが4年前の5月の出来事です。

 しかしながら、サークルに入る人間は大半がエレクトーンかピアノの経験者で、鍵盤を演奏することに長けている人ばかりでした。自分がうまく弾けないことに対する劣等感も相まって、私はだんだんサークルに関心が無くなってきました。どうせ練習しても自分は周りに追い付けないし、人を感動させられるような演奏もできないと、勝手に思い込んでいきました。

 そんな中、募集されていたアンサンブルで自分には無理と思える譜面を弾くことになりました。そのアンサンブルの先輩は、無理だ、弾けないという自分に対して、「そんなはずは無い。テンポがゆっくりでも練習を積み重ねて段々と速くしていけば絶対に弾けるようになる。」と言いました。その言葉に従って地道な練習を積み重ねていくと、今まで片手でしか演奏できなかったのが嘘のように、両手で弾くことができるようになりました。そこから自分の世界が広がり、今度は譜面を弾くだけではなく、表現や音色について気になるようになりました。そうして自分の世界を拡張していくことで、今では両手両足を動かす簡単なソロ曲を演奏できるようになりました。

 練習は辛く苦しいものですが、人前で恥ずかしくない演奏ができた時の喜びは一入です。ついついその気分を味わいたくて、修士になってもそのサークル活動を続けています。残念ながら、研究が忙しくそこまでサークル活動ができていないのですが、息抜きがてら続けていきたいです。




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