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学外研修

八戸工業高等専門学校 専攻科機械システムデザインコース 1年
田端 真之介

 八戸高専専攻科には、秋学期の期間に学外研修というものがある。これは、フィンランドやフランス、中国などの諸外国へ英語による研究プログラムを行うというものである。期間は約2ヶ月半で留学にしては短いものである。今年、私はフランスでのプログラムへ参加した。

 行きの飛行機でのことである。私は、今回飛行機に乗ることが初めてであったため、少し緊張していた。席は飛行機の後方三つ並んだ席の一番通路側であった。左隣には今回初めて会った一関高専の同学年の男子生徒、右隣にはスペイン系の顔立ちをした60代くらいの女性が座っていた。離陸の際に右隣の女性が「Life is beautiful」と何度もつぶやいていたのが私にはひどく印象的だった。一関の男子生徒とは、メールで何度かやりとりをしたものの実際にあって話したことは無かった。二人は終始無言で、無料で見ることのできる映画や、音楽プレイヤーで音楽を聴いたりして必死に時間を潰した。12時間のフライトは映画、音楽、睡眠のローテーションだった。

 私の英語はフランスで通用するだろうか、一関の男子生徒とはうまくやっていけるだろかなどと考えていたら、パリのシャルル・ド・ゴール空港へ到着した。到着してからは、TGVというフランスの新幹線に乗って、今回研究プログラムを行うリールというフランスの都市へ移動した。リールは都会的では無いが、田舎でも無く落ち着きのある静かな町であった。それからのリールでの日々は、今思い返すと光のように過ぎていったと感じる。

 私は、当初フランスに留学する理由として、単位が欲しいからという意識しかなかった。しかし私がフランスで得たものは、それを遙かに上回るものだった。すべてを挙げるときりが無いので省略するが、一番大きなものは新たな出会いである。フランス人やフランスに留学に来ている日本人の学生と出会い、様々なことをした。すべてが良い思い出であると断言できるほどに、フランスでの日々は刺激的で有意義なものであった。

 単位が欲しいという短絡的な理由で参加した学外研修プログラムだったが、結果として新たな出会いや様々な経験を得ることができた。帰国後、成田空港の北ウイングで本当に人生は美しいのかもしれないと感じた。

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