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風車研究を通じて

一関工業高等専門学校 生産工学専攻 2年
佐藤 友裕

 皆さんは,普段の生活の中で「風車」を見かけることはありますでしょうか?

 風車と言えば,沿岸部や山間部にそびえたつ巨大な建造物を思い浮かべると思いますが,近頃,街中では街灯や電光掲示板の電力を賄うための小型風車が多く設置されるようになり,見かける機会が増えたのではないでしょうか.

 私が初めて見た風車は,岩手県前沢市(現在は奥州市前沢区)の山間部に建てられていた中型風車で,車に乗りながら眺めていました.当時は小学生の頃で,何で風車が回っているか,何の目的で建てられたかに関心は無く,ダイナミックに回転している風車をただただ凝視していたのを覚えています.

 それから月日が経ち,漫画「宇宙兄弟」と映画「アポロ13」の影響を受け,航空・宇宙産業に興味を持つようになり,一関高専に入学しました.高専で学んでいくうえで,流体力学に興味を持ち,卒業研究ではマイクロ風車の設計・開発について取り組みました.一から設計・開発を行った経験はほとんど無く,日々試行錯誤する毎日でしたが,実際に風車が回り,良好な発電性能を示した時,改めて研究の魅力・奥深さを実感しました.現在は,数値シミュレーションを用いた風車周りの流れ場について研究していますが,日々の発見や新たな計算手法を研究に取り入れ,自分の研究に対する視野が広がっていくことに高揚する日々を送っています.

 街中で風車を見ると,漠然と眺めていた幼少時とは違い,普遍的に物事を見る様になり,関心のなかった普段の日常風景に興味を持てるようになったのは,風車のおかげです.

 来年から,新しい研究に携わることになり,風車から離れることになりますが,日常生活で風車を見かけた際には,試行錯誤していた高専時代の研究を思い出し,初心を忘れずに研究に励んでいきたいと思います.

 

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