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積読

仙台高等専門学校 専攻科 生産システムデザイン工学専攻 2年
沼田 大祐

 私の趣味は読書である.どこかの寮で自己紹介の決まり文句に使われていそうな,いきなり誰にも詰まりもしない言い出しであるが,そうである.しかし,研究をはじめ様々な学校行事や他の趣味・予定などによりそうそうまとまった読書に当てる時間が取れなくなり,私の部屋の本棚には買ってから読んでいない本の溜まり場が出来ている.その数,およそ40から50冊といったところか.これは買うべきではないと思いつつも,面白そうな本があればついつい手に取って,気づいたらレジへ,もしくは「カートへ」をクリックである.

 いきなりではあるが,「積読」という言葉をご存じであろうか.読みは「つんどく」であり,IMEでも一発で変換がなされる.意味はもちろん,買ったのは良いが読まずに積まれた本たちのことを指す.因みに,この単語を私はつい最近「積読は読書に入りますか?」という友人からの問にて初めて知った.参考書を買ったけれど,手を付けずに机の側に積まれていることなども該当するだろう.ええ,耳が痛い.そんなに積読していれば買ったことを忘れてしまうし,もしかしたら一生読まずに手放すことになるかもしれない.しかし,本との出会いは運命であると私は少なからず思う節があり,例えば何気なく書店でぶらぶらしていると普段は見逃してしまうような本に目が留まることがある.日本では年に約7から8万もの新刊書籍が出版されて,これは月換算で6000冊ほどである.すべてがすべて町中にある書店に並ぶものではないにしろ,その数に驚く.その入れ替わりの中で出会った,その一冊をいま一度棚に戻すことは難しい.そして,今は読まずとも,未来の自分がその購入を忘れて本棚を漁ったときに久しく出会う,その出会いも積読ならではだと思う.

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