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乗用鉄道模型製作活動「5-Inch Gauge Project」の起ち上げと4年間の活動を通して

一関工業高等専門学校 機械工学科 5年
立野嵩陽

 私が本科2年次に起ち上げた乗用鉄道模型5インチゲージを製作する活動「5-Inch Gauge Project」は今年度で活動発足から4年目を迎えた。この活動は、私が鉄道好きだったこと、学校で何かモノづくりの活動をしたかったことの2つに大きく由来している。さらに、その頃私は乗用鉄道模型5インチゲージに対し、非常に興味を抱いており、学校で5インチゲージを製作できないものかと後の指導教員となる原圭祐准教授に相談させていただいたのが発足のきっかけとなった。幸い、原准教授も鉄道に対し興味があったことから快諾を受け、鉄道好き・モノづくり好きを中心に参加者を募り、合計8人の有志学生が集まり活動を開始した。
 ここで、乗用鉄道模型5インチゲージについて簡単に説明したい。乗用鉄道模型とは文字通り人が乗られる鉄道模型のことである。5インチゲージとは軌間、つまり線路の幅が5インチ(127mm)という意味である。遊園地やイベント会場などにあるミニ電車と呼ばれるものを想像していただきたい。
 活動においてまず行ったことは、目標の設定である。ここで決めたのが次年度10月の高専祭(文化祭)での車両お披露目を目指すことである。製作する車両は本校近くを通る東北本線で活躍したED75形電気機関車となった。
 次に取り掛かったのが、先駆者の情報を集めることである。動画サイトやインターネットを用いて宮城県の大学と愛知県の工業高校が5インチゲージの製作活動を行っていることを知った。そして、両校にメールなどで設計や製作の手順などについて伺ったり、宮城県の大学には直接伺い実物を見学したり、車輪の設計図の提供などのご協力をいただいた。
 これらの集めた情報をもとに、本校の実習工場の設備を用い、学生たちで車両の製作を始めた。レールは既製品のレールを購入し木材を枕木としてビスで固定した。そして、2015年10月の高専祭で車両をお披露目することができた。
 その後、岩手県一関市、盛岡市、大船渡市、北上市、宮城県大崎市などの各地のイベントで子供から大人まで多くの方々にご乗車いただいた。
 しかしながら、現在でも多くの課題がある。特にレールに起因する問題が多い。例えば、レール同士をつなぐジョイントがあるが、ねじで固定しているために設置に時間がかかること、列車が何度も通過する間につなぎ目の間隔が開いてしまうこと、カーブでは横圧でジョイントが変形するなどの問題が起きており脱線の原因につながっている。この他の問題も含め、多少時間がかかっても取り組むべきことであると考えている。
 今年度は583系電車という東北本線で走っていた寝台型特急電車をモデルに車両製作にも取り組んでいる。メンバー皆の努力の甲斐もあって、複数のメディアにも取り上げられ、多くのイベントへの依頼が来るなど順調な発展を遂げている。今後とも常に新しい取り組みと挑戦心を忘れることなく、現状に満足せず、今後も学生自らの行動を続け、活動の発展に尽くしていきたい。
 私は3月で卒業するが,4年間このような充実した活動に携われたこと、メンバーや校内外の多くの方々からの支えにより車両製作を実現し各地で試乗展示をできたことに感謝し、将来にわたりこの活動で培った能力を活かしていきたい。




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