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FRP部品の試作

いわき明星大学 科学技術学部 科学技術学科 4年
渡邉康修

 FRPはFiber Reinforced Plasticsの略で、繊維強化プラスチックと言う。安価・軽量で耐久性がよいことから、小型船舶の船体や、自動車・鉄道車両の内外装、ユニットバスや浄化槽などの住宅設備機器で大きな地位を占めている。卒業研究では、FRP部品の試作を行なった。FRP部品の一般製作手順は次のとおりである。(1)発泡ウレタン・粘土・石膏・発泡スチロール・木材などを使ってFRPで作成したい製品の型を作成する。型の作成は形状や素材によるが、カッターや紙やすりを用いて理想とする形を形成する。自分の研究では、CAD/CAMで型を作った。(2)型の表面がざらざらだと型とFRPがくっついてしまうので、型が完成したらツルツルになるように表面処理をする。(3)コンパウンド(車用を推奨)を用いて表面がピカピカになるまで磨く。(4)ウエスに離型剤を染み込ませ、型を拭きながら離型処理をする。(5)ガラスマットを適正サイズに切り(手ちぎり推奨)、型の上に置く。(6)樹脂100に対して硬化剤1〜3%を混ぜ、刷毛で空気が入らないようにガラスマット全体に浸透させていく。できる限り樹脂の量を少なくするようにする。(7)型の表面全体に浸透させたら、硬化する前に同じように上からガラスマットを貼り付けていく。(8)求める強度にもよるが、1〜3枚重ね程度あれば十分(参考:車のバンパーは2枚重ね)。(9)硬化時間:20℃で40分〜60分。(10)FRPが硬化したら、傷がつかないようにゴム製のへらや布を巻いたマイナスドライバー等を使って少しずつ空気を入れていって剥がす。割れてもFRPを貼ればある程度は修正可能。(11)離型後、不要な部分をグラインダーでカットし、ある程度の形状を作る。(12)表面に気泡による穴ができていたり、形状が出ていない部分はパテを使って修正する。(13)表面に離型剤が残っていて、塗装乗りが悪くなるので、目の細かい紙やすりで表面を磨き、シンナーやシリコンオフなどで塗装面を拭いて離型剤を取り除く。(14)サフ、磨き、ベース、クリア、仕上げ磨きの順に塗装する。本研究でマシニングセンタによる型つくりおよびFRP部品の試作の一例を下図に示す。




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