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「若さ」の衰え

岩手大学大学院 総合科学研究科 理工学専攻 機械・航空宇宙コース 1年
吉川拓杜

 二十代前半の人間が何を言っているのかと思われるかもしれないが,私はこの数年で急激に自分の中の若さが目減りを起こしているように実感している.今回はその日々実感する「若さ」について筆を執らせていただこうと思う.

 私は以前に比べて「若さ」を失ったように感じる.特に部活やアルバイト先で後輩と雑談をしていた際などには,それを印象付けられる話題が大きく二つあった.

 一つは彼らが物事に新しく取り組む時の意欲である.彼らは新しいものに取り組むときに躊躇をすることが少なく,貪欲に積極的にその世界に飛び込んでいくのだという.それを聞くとやはり私などは「ずいぶんと保守的になったものだな」などと感じる.以前ならそうではなかったかもしれないが,自分の知らない世界に飛び込むとなった時に感じる抵抗感は年を経るたびに強くなっていくよう感じるのだ.
 その代表例は音楽や絵画,スポーツといった新しい趣味である.そういったものを始めるのに年齢は関係ないと頭ではわかっているのだが,そうもいかなくなってきているあたりに「若さ」の衰えを感じずにはいられない.

 もう一つは世間の流行り廃りの早さが以前にも増して加速しているように感じることである.これに関しては完全に個々人の感性によるものである為,言葉にするのは難しいのだが,つい最近流行ったものだとばかり思っていたものが,既に時代遅れなどと揶揄されるのを見聞きした折の衝撃は大きいのであった.それを感じるたびに自分の中の「若さ」を失っているのではないかと焦燥感に駆られることもある.

 以上,示したように我々の持ち得る「若さ」は油断しているとあっという間に失われていってしまうものであると私は考える.故に,今において行かれぬよう,なけなしの「若さ」を両手に抱えて,様々な世界に踏み込む勇気を常に持たねばならぬと,私などは昨今思うのであった.

 P.S.不思議と以前に比べて酒量も飲めなくなってきたよう,衰えをこの頃感じるのだ.




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