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高専に7年間いて今考えていること

仙台高等専門学校専攻科 2年
菊地航平

 私の趣味はスポーツである。小・中・高専と12年間バスケットボール部に所属していた。12年のうち、10年は部活に行くのが嫌でいやで仕方がなかった。試合は尋常ではないほど緊張するし、ミスをしてコーチから怒鳴られるのが辛かった。中学生の時の先生は、引退して9年経った今でも悪夢に登場する。しかし今思い出すと最高の思い出話にはなる。
 部活動から引退して2年が経った。体育の授業はないし、自分で時間と場所と仲間を見つけないとスポーツを楽しめないごく普通の人間になった。最近の私は、授業、研究、3種類掛け持ちのアルバイト、国内旅行、海外旅行、友達との食事、ドライブ、映画鑑賞、カフェ巡り、インスタグラムでほぼ全ての時間を占めている。しかし、唯一我を忘れて夢中になる時間は、ごく稀に友達と楽しむスポーツをしている時間である。コーチの目や、過剰な勝敗のプレッシャーから解放され、リフレッシュや体のトレーニングにもなるスポーツの魅力に初めて気づいたのである。適度な勝敗のプレッシャーは病みつきになる。だが、ほとんどスポーツをする機会がない。なぜだろうと考えた時に、仲間が集まらない、終わったらシャワーを浴びたいから環境が整っていないとできない、など様々な制約があることに気がついた。
 改めて、スポーツは種目を問わず最高に楽しい。最後にシャワーを浴びたいからスポーツをしないなんて言えば「本当に心の底からスポーツを愛していないからだ」とも言われそうだが、スポーツを楽しみたくても楽しめない制約の一つになっているのは事実である。おそらく同じようなことを考えている人はたくさんいて、人間が娯楽を楽しむために制約を解消する何らかのアイディアを形にしていく人がいるのだと思う。「シャワーを最後に浴びたい!」と言うちっぽけな制約でも、それを解決する画期的なアイディアは存在すると思う。
 社会は自分が考えているよりも甘い世界ではないことは覚悟している。それでも、私は機械科の学生として、これまで7年間学んできたことを武器に専門性を持ち、アイディアを形にしていく人間になりたいと今考えている。




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