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旅を通して

東北学院大学工学部 機械知能工学科 4年
打矢崚

 大学2年生の終わり、春休みを利用しイギリスに向かっていた私は、右足に想定外の冷気を感じ、飛行機の窓側の席を取ったことを少し後悔しつつも胸を高鳴らせていた。12時間半のロングフライトを終え、世界一厳しいと言われる入国審査に向かった。ここから五感をフル稼働させる刺激的な数日間が始まった。

 序盤も序盤、様々な出来事が起こった。入国審査まで1時間待ち、待っている途中で有名人を目撃、時差による強烈な眠気の襲来、宿に向かう途中での偽警察官との遭遇。旅行にハプニングはつきものだと思いながらもそれさえも楽しんでいる自分がいた。次の日からは有名観光地、世界遺産など様々な場所を巡った。移動には、地下鉄、鉄道、バス、フェリー、徒歩と色々な手段を使いながら存分に文化を楽しんだ。馬に乗ってパトロールする人がいたり、デモ活動の集団が道路を埋め尽くしていたり、お金を払ってトイレをしたりと、日本では見ることがないものややらないことばかりだった。歩いていると一人の男性に話しかけられた。しかしこの時の私は、前日の偽警察官が頭をよぎり警戒心はMAXである。その男性は赤い電話ボックスと写真を撮ってくれないかと頼んできたのだ。少し警戒心が解け、写真を撮った後に少し会話して別れた。

 日本で過ごす日常生活の中では、目にもくれないものが海外に行くと途端に真新しく目に映る。自然、建造物、人、文化など、何もかもが違う。おそらくテレビや本からではこれらの本質や真価は知り得ないと思う。実際に現地を訪れ,目で見て、肌で感じてみることの重要性を痛感した。そして帰りの飛行機の中で私は、こんなにも刺激的な数日間は生きてきた中であっただろうかと思いながら、旅の余韻にどっぷりと浸っていた。私は、この経験から旅に魅かれて、台湾とオーストラリアにも行き、そこでもたくさんの経験をすることができた。行きたいところは山ほどある。さあ、次はどこへ行こう。







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