前後加速度を伴うときの定常旋回限界特性の表示法

酒井英樹(近畿大学)

 路上の障害物を回避するために減速しながら旋回することがある。またレースではカーブの出口で旋回しながら加速する。このような加減速中の旋回限界を、前後加速度と横加速度の2軸上に描いた旋回限界走行データの外形によって図示するGG線図(図1)がある。図1の制動側外形は、桃色線のような形状にも見えるが、車両を1輪でモデル化すると外形は真円になり、2輪以上の場合は、外形を指摘した例は見当たらない。
 そこでGG線図の外形を、前後2輪モデルを使って考察した。まず後輪の摩擦限界を無視して求めた前輪の仮想の限界線と、前輪の限界を無視して求めた後輪の仮想の限界線を計算する(図2)と、このうち限界の低いほうが実際の旋回限界になる。そのため制動側は図1の桃色線のような形状になると思われる。またこの図示法では、外形線が、後輪の摩擦限界のときは不安定平衡点であり、前輪の摩擦限界のときは安定平衡点であることも示される。
 次に駆動方式の比較を図3に示す。旋回限界が高い順は概ねRR(前輪荷重配分比0.35)、FR(同0.5)、FF(同0.65)である。これが、後輪駆動がスポーツカーに用いられる理由であろう。
以上、本研究の知見が、事故回避性能の向上やスポーツカーの企画等に貢献できれば幸いである。

図1

図1 GG線図の実測例

図2

図2 提案するGG線図の計算法(4輪駆動車を想定)

図3

図3 駆動方式が限界性能に及ぼす影響

last update 2015.9.20