[会議の目的]

経営と技術移転に関する国際会議


 明治に我が国は欧米から近代技術を導入し、それを独自に発展させて今日の技術立国としての地位を築いてきました。しかしながらその過程では、例えば専門用語や単位系、あるいは会社や工場の経営形態等々の違いから生じる種々の困難があったと考えられます。それらがどのように克服されたのか、あるいはどのような場合に失敗したのかについて研究発表し、検討するのがこの国際会議の目的です。つぎのような特徴を持っています。

(1)「技術移転およびそれに伴う経営形態の移転」というテーマについては、従来は主に文科系の研究者によって研究されてきました。しかしながら、技術者にとって当たり前のことでも、文科系の研究者にはすぐには理解し難いことなど多々あると考えられます。一方、日本機械学会「技術と社会」部門のメンバーはもともとは機械を研究する技術者の集まりです。
 そこで、歴史の大きな流れを研究する文科系の研究者と、技術のことを理解している技術者とが一堂に会して会議を開きます。お互いに知識の補完ができ、新しい知見が得られると考えられます。

(2)また、技術を輸出した側(欧米)と輸入した側(日本)の研究者とが、それぞれが(地理的にも言語的にもほとんど障害のない)自国に関して研究したことをお互いに突き合わせることで、効率的に理解が進み、新しい知見が得られると考えられます。

 なお本会議においては”移転に伴う困難さの克服”という点に主眼を置きますので、移転時期は明治以外も含め、また、他国の場合も含める会議とします。

 我が国はIT技術の導入に遅れをとり、それが長引く経済的閉塞状況の一因をなしているとも考えられます。資源のない我が国はこれからも技術立国で世界に伍していくしかありません。過去の技術と経営移転について検証することで、短期的にも長期的にも我が国の将来に資する有用なヒントが得られることが期待されます。