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[受賞者挨拶]

優秀講演論文賞受賞を受賞して


佐藤智明(神奈川工科大学工学部機械工学科)



 このたびはこのような賞をいただきまして大変光栄に思います.今回,マルチメディアコンテンツを用いた熱力学教育に関します研究でこのように評価していただけたことは,今後,私が工学・技術教育に携わり続けていく上で,大変励みになっていくものだと思います.
 私は機械工学の分野で研究・教育に携わるようになって約20年が経ちます.これまでの20年間は,工学研究としては,熱工学を専門として特に冷凍機に使用される冷媒の熱物性について研究を重ねてきました.一方,教育の職務としては,機械工学の実習実験科目において教育のサポートおよび直接の指導を行ってきました.こうした実習実験科目の教育指導の中では,原理や理論の説明を短時間で説明しなくてはならないことが多く,最近では,このような理論や概念を如何に効率よく分かりやすく教授することができるかということにも興味を持つようになりました.そこで,かねてから興味のあったICT(情報通信技術)を利用した分かりやすい教授法について研究を行ってみたいと思い,教育工学という学問領域に新しく研究領域を広げることになりました.ご存じのように,教育工学とは,ICTなどの工学技術を教育に利用する手法を開発することを主な内容とする,教育学と工学との中間に位置する学際領域の学問のことを指します.そして,目に見えない「熱」というものを如何に可視化して分かりやすく教授できるか,ということを主なテーマに掲げ,熱機関の原理や熱力学法則の概念をCGアニメーションによって分かりやすく教授するコンテンツ教材を開発し,教育実践を通してその教育効果を確認しました.そして,その成果をまとめて,20年3月に「熱力学教育におけるマルチメディアコンテンツの効果的活用」という題目で博士号をいただくことができました.今回の技術と社会部門からの受賞はその研究の一部で,博士号の取得と講演論文賞の受賞という喜びを立て続けにいただくことができて大変幸せに感じます.今後は,これまで研究してきた熱工学と教育工学を両刀として,さらに教育・研究に貢献したいと思っています.また,技術と社会部門では今年度から広報委員会とホームページ委員会のお仕事をさせていただくことになりました.今後は,機械工学教育の発展のためにも本部門で是非お力になれれば,と思っておりますので今後ともどうぞよろしくお願いいたします.

 





     

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日本機械学会
技術と社会部門ニュースレターNo.18
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