特 集:衝撃解析の現状と動向

遠藤正司(株式会社 富士テクニカルリサーチ)

 衝撃解析の歴史と、ハードウェアの進歩には密接な関係があり、1980年代前半に登場した米国CRAY社のスーパーコンピューターやその後に登場した国産スーパーコンピューターの発達が衝撃解析の発展に大いに寄与してきたと考えられる。現在でもハードウェアの演算能力の向上が重要なテーマであることにかわりがないことはいうまでもない。

  従って、衝撃解析ソフトウェアに対する要求も、主としてベクトル化率の向上であったり、並列化率の向上であった。最近ではCPU本体の演算能力の向上により、サーバークラスのエンジニアリング・ワークステーションを使用しても十分に実用に耐えるため、衝撃解析がより一般的になってきている。

  各種交通機関、特に自動車の衝突に対する安全性の確保は重要な課題である。自動車の衝突解析結果に対する要求は、20年前の定性的評価から、製品性能の各部仕様を決定するための定量的評価にまで高まっており、解析精度の向上のある部分は、解析モデルの規模に依存する面も否定できないことから、如何に効率よく大規模モデルを作成するかということが課題となってきており、総モデル数30万要素、40万要素というモデルも一般的になってきている。

  ハードウェアの進歩とともに、解析の精度向上については、計算時間が許す限り総要素を増やすことが課題であったが、最近ではモデル規模と同等に、解析精度に影響を与える要因および課題として、非金属部品などの正確なモデル化、特に樹脂・ゴム部品などの材料特性を如何に精度良く把握するかが重要になっている。

  一方、携帯電話、パームトップ・コンピュータに代表されるデジタル家電製品の落下衝撃はここ5年程の間に盛んに解析されるようになってきており、PP、ABSなどの樹脂材料の材料特性や、リブとリブとのはめ込み部のモデル化方法、半田付け部などのモデル化方法が研究されている。また、搬送時の落下問題として、梱包材の衝撃緩和特性なども重要なテーマであり、安定的に解析可能な発砲材のモデル化手法が研究されている。

  今後は、モデル作成期間の短縮のため、CADデータのクリーンアップ、精度良いメッシュを自動生成する技術の確立が必要である。

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