No.17(2000年8月発行)


部門長就任にあたって
大富浩一((株)東芝)

 今期より,冨山前部門長から部門長を引き継ぐこととなりました.部門発足10年目,部門講演会も今年度第10回,また,1月には21世紀を迎えるということで,当部門にとって,まさに節目の年と言えます.
 さて,歴史ある日本機械学会の中にあって,「設計工学・システム部門」は比較的若い部門です.また,横断的な部門であるという特徴も有ります.以前は,設計工学というとCAD/CAEを思い浮かべる方が多かったのではないかと思いますが,最近ではさらに設計の上流工程をも対象としたより複合した領域へと発展してきています.その意味で,研究者にとっては非常に創造的な場を与えてくれる学問領域であり,企業サイドからは設計プロセスの革新への解を示してくれる期待の大きい分野でもあります.また,現在,機械工学便覧の改訂が予定されていますが,新たに「設計工学」が新設されることになっています.このように非常に期待の大きい分野であり,部門としてさらなる発展を行う好機ととらえています.
 一方で,「設計工学」が正しく定義,理解されていないのも事実です.特に,企業の立場から見ると,折角の研究成果が設計の現場で生かされていなかったり,逆に,過度な期待から拒否反応を示してしまったりと,発展成長期にありがちな誤解混乱が時としてあるようです.当部門としては「設計工学」の現状を正しく理解し,会員の方々に情報発信していくことが最大のミッションと考えています.特に,「設計工学」は最終的には製品開発に活かされることが目標です.その意味で,会員の多数を占める企業の方々への技術の橋渡しが少しでもできればと思います.現在,日本機械学会の財政的問題,会員数の低迷,部門制の見直しが問われています.この原因はいくつか有るかと思いますが,突き詰めれば,学会が活性化していないと言うことにつきると思います.新しい技術分野としての「設計工学」,広範囲の会員へのサービスが可能な「設計工学」,学会活性化の起爆剤としての可能性を秘めた部門と考えております.
 今期の運営方針としては,上記主旨の元,学会の基本方針である「部門活性化,部門独自性」に則り,前期(冨山前部門長)に引き続き,積極運営で行きたいと思います.具体的には以下の3つを柱として参ります.第1に,情報発信の仕組みを確立することです.歴史が浅いと言うこともあり,人的ネットワークが十分ではありません.部門活性化委員会,広報委員会が中心となり,当部門の得意とする情報インフラを活用した仕組みを早期に立ち上げます.第2に,当分野の人的活性化です.特に,表彰制度,ニュースレター,Web等を活用して気概のある研究者,技術者の方々を表舞台にと考えています.第3は,技術交流の場の提供です.企画委員会,技術委員会が中心となり,部門講演会,年次大会,分科会,講習会等を積極的に企画して行きます.横断的テーマであることより,他部門との交流,他学会との交流も重要と認識しています.さらに,グローバル化する21世紀に向けて,当部門としても海外の学会との合同企画を検討して行きたいと思います.
 可能性を秘めた当部門を,皆様と一緒になってさらに魅力ある部門へと発展させていく所存ですので,ご支援ご協力並びに忌憚のないご意見をどしどしお願いいたします.
(E-mail: koichi.ootomi@toshiba.co.jp)


部門長退任にあたって
冨山哲男(東京大学 人工物工学研究センター 教授)

 この3月をもって任期切れにより部門長を退任し,後任を大富浩一副部門長にお願いすることになり,一言ご挨拶申し上げます.まず,副部門長から通じて4年間,本部門の運営に責任を持つ立場にあったわけですが,平の運営委員の時のように気楽に意見だけを述べていればよいのと異なって,それを実際の運営に活かすべく努力しなければならないと言うことが,実に大変であることを思い知らされ,改めて本部門の歴代部門長の先生方に敬意を表します.また,技術委員会や部門講演会の活性化,全国大会・年次大会への積極的な参加,会員数減少に伴う財政問題など,多くの山積していた問題を任期中に全て解決できず,大富新部門長に引き継がざるを得なくなったことは,誠に心苦しい限りです.例えば,国際協力の推進など,全く手つかずの公約もあったりで,お恥ずかしい限りです.しかし,部門運営委員会,企画委員会,広報委員会,技術委員会,表彰委員会などの多くの先生方のご助力,ご指導,また学会事務局の大室様のご支援のかいあって,つたない部門長ぶりであったにもかかわらず,いくつかについては方向性だけでも見えてきたことは,ささやかではありますが部門への貢献であったのではないかと思います.改めて,関係の方々に感謝申し上げるとともに,多々ご迷惑をお掛けした点をお詫びする次第です.
 さて,設計工学・システム部門も1992年の発足以来,今期79期で9年目を数えるに至り,日本機械学会の中でも中核的な部門に成長したと一応の評価をできるのかと思います.しかし,学会を取り巻く環境,あるいは機械工学自体を取り巻く環境の劇的な変化で,今後も同様な形で活動を継続すべきか,あるいは継続できるのか自体が問われているのも事実でしょう.設計工学・システム部門のカバーする領域も発足時とは大きく様変わりし,今更のように日常的・継続的に自己変革が求められていることを認識いたします.このような自己変革には,当然のことながら会員諸兄のご支援が必須です.運営委員会と会員諸兄との距離,あるいは部門活動への会員諸兄の関係を如何にして増大していくかは,当部門のみならず日本機械学会全体での問題点でもあるかと思います.是非,皆様の積極的な参加を今後ともよろしくお願いいたします.
 ところで,設計工学・システム部門のカバーする領域が日本機械学会の中でも比重を増してきました.例えば現在,改訂作業が進行中の機械工学便覧は,大きくその構成が変わり,設計工学・システム部門の内容が独立した内容となります.機械工学便覧は,もちろん,ある面ではその全てが機械設計のために存在しているとも言えますが,今回の改訂では,固有技術としての設計工学・システム関連技術が明確に記述されることになります.これは,本部門の機械工学への明確な貢献例であると言って良いでしょう.
 このように,今後も本部門が益々その重要性を高めていくことだけは確実です.その意味でも,本部門がより一層の発展を遂げるよう皆様の絶大なるご援助をお願いして,私の退任の挨拶とさせていただきます.どうも有り難うございました.


第9回設計工学・システム部門講演会 解析コンテスト 優秀研究賞を受賞して
「構造最適設計プログラム3D FINAL DESIGNの開発と応用」
(第9回設計工学・システム部門講演会講演論文集,1999,pp.169-172.)
趙希禄,中村和彦,遠藤正司,名取孝((株)富士テクニカルリサーチ)

 この度は,立派な賞を授賞いただき,大変光栄に思っております.近年来,構造解析技術を一歩進めた構造最適設計に関する研究は,大学研究室のレベルで盛んに行われており,数々の研究成果が発表されております.しかし,機械産業界における利用実績はまだ少なく,設計者が理解し簡単に使用できる構造最適化ソフトウエアは極めて少ないのが現状であります.3D FINAL DESIGNは,機械設計現場でよく見られている構造形状最適化問題を手軽に解決するために,開発した汎用構造最適設計ソフトウエアであります.その最大な特徴は,最適設計に必要な構造解析モジュール,感度解析モジュール,最適化モジュール及びプリポストをすべて揃え,オールインワンパッケージの形で汎用ツールとして設計エンジニアが直接に使用できることであります.また機械部品のもつ複雑な形状を最適化するために,ベーシスベクトル手法を適用しております.3D FINAL DESIGNを開発してから,重工業や自動車部品メーカーを中心とした設計現場に沿った多数の構造最適化問題を取り扱い,設計者が長年間悩んでいた個別部品の詳細にまで構造パラメータ最適分布を,パソコン上で手軽に求めることが実現されました.今回,私どもの開発したソフトウエアに対して,多くの方々が興味を持って頂き,このような賞を受賞できたことを大きな励ましとして,今後も更なる研究開発を精進し,構造最適設計技術の発展に少しでも貢献して参りたいと思っております.最後に,私どもの3D FINAL DESIGNの研究開発に対し,直接にあるいは論文や著書などの形で間接的に貴重な教示を教えて頂いた先生の方々に,改めて厚く御礼を申し上げます.


第10回設計工学・システム部門講演会 −高度情報化とものづくり革命− 講演募集

(主催:設計工学・システム部門,共催:工業技術院機械技術研究所)

開催日
2001年1月17日(水),18日(木),19日(金)
19日午後は宇宙開発事業団(展示室,追跡管制塔,総合環境試験棟,無重量環境試験棟,宇宙飛行士養成棟)及び機械技術研究所(マイクロファクトリ,ヒューマンフレンドリーロボットなど)の見学会を予定.

会場
工業技術院筑波研究センター共用講堂(茨城県つくば市)

募集テーマ
下記オーガナイズド・セッション,一般セッション,解析コンテスト,ラピッド・プロトタイピング・コンテストを募集します.

 先端技術フォーラム,ワークショップならびにパネルディスカッションも予定しております.企画を提案される方がおられましたら下記宛ご連絡ください.

実行委員長 今村 聡(機械技研)Tel:0298-61-7054/Fax:0298-61-7091/E-mail: imamura@mel.go.jp

講演申込方法
原則としてWebページをご利用ください.Faxをご利用の場合は,日本機械学会誌1999年5月号告210頁に綴じ込みの研究発表申込書に必要事項をご記入の上,各セッション,コンテストのオーガナイザ,担当者宛にお送りください.会員外の方の発表も歓迎します.

講演形式
講演時間15分,討論時間5分

講演申込締切
2000年9月8日(金)

原稿用紙発送(兼採否通知)
2000年10月2日(月)

講演原稿提出締切
2000年11月24日(金)

講演原稿提出枚数
A4判用紙にて原則2ページ(ただし4ページまで可)

原稿提出先
〒160-0016 東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館5階
社団法人 日本機械学会設計工学・システム部門(担当 大室孝幸)Tel:03-5360-3504/Fax:03-5360-3508

* オーガナイズドセッションとオーガナイザ

O01「人工現実感」
小木哲朗(通信放送機構)Tel:(03)5841-8979/Fax:(03)5841-8979/Email:tetsu@iml.u-tokyo.ac.jp

O02「協調設計・協調工学・コンカレント設計」
荒川 雅生(香川大)Tel:(087)864-2223/Fax:(087)864-2223/Email:arakawa@eng.kagawa-u.ac.jp
福田 収一(都立科技大)Tel:(042)585-8670/Fax:(042)583-5119/Email:fukuda@tmit.ac.jp
山川 宏(早大)Tel:(03)5286-3262/Fax:(03)3209-9176/Email:hiroshi@yamakawa.mech.waseda.ac.jp
吉村 允孝(京大)Tel:(075)753-5224/Fax:(075)771-7286/Email:yoshimura@prec.kyoto-u.ac.jp

O03「音・振動と設計」
萩原 一郎(東工大)Tel:(03)5734-3555/Fax:(03)5734-3555/Email:hagiwara@mech.titech.ac.jp
鈴木 賢一郎(エステック)Tel:(045)661-1661/Fax:(045)661-1664/Email:funai@img.sdl.melco.co.jp

O04「設計支援・CAD・形状モデリング」
村上 存(東大)Tel:(03)5841-6327/Fax:(03)3818-0835/Email:murakami@mech.t.u-tokyo.ac.jp

O05「加工・製造支援・CAM」
村上 存(東大)Tel:(03)5841-6327/Fax:(03)3818-0835/Email:murakami@mech.t.u-tokyo.ac.jp

O06「感性と設計」
大富 浩一(東芝)Tel:(044)549-2379/Fax:(044)549-2383/Email:koichi.ootomi@toshiba.co.jp

O07「インバースマニュファクチャリングとメンテナンス工学」
梅田 靖(都立大)Tel:(0426)77-2729/Fax:(0426)77-2729/Email:umeda-yasushi@c.metro-u.ac.jp
下村 芳樹(川崎重工)Tel:(0471)24-0616/Fax:(0471)24-5418/Email:y-simo@tech.khi.co.jp

O08「設計の知能化・高度化・統合化」
藤田 喜久雄(阪大)Tel:(06)6879-7324/Fax:(06)6879-7325/Email:fujita@mech.eng.osaka-u.ac.jp

O09「ロバスト設計・信頼性設計」
山川 宏(早大)Tel:(03)5286-3262/Fax:(03)3209-9176/Email:hiroshi@yamakawa.mech.waseda.ac.jp
荒川 雅生(香川大)Tel:(087)864-2223/Fax:(087)864-2223/Email:arakawa@eng.kagawa-u.ac.jp

O10「実際の設計・現場の設計」
大富 浩一(東芝)Tel:(044)549-2379/Fax:(044)549-2383/Email:koichi.ootomi@toshiba.co.jp

O11「人工物工学」
冨山 哲男(東大)Tel:(03)5453-5888/Fax:(03)3467-0648/Email:tomiyama@race.u-tokyo.ac.jp

O12「First Order Analysis」
吉村 允孝(京大)Tel:(075)753-5224/Fax:(075)771-7286/Email:yoshimura@prec.kyoto-u.ac.jp

O13「設計教育」
福田 収一(都立科技大)Tel:(042)585-8670/Fax:(042)583-5119/Email:fukuda@tmit.ac.jp

* インタラクティブセッション

「ヒューマンインタフェース」(ポスターセッション)
渡辺 富夫(岡山県立大)Tel:(0866)94-2105/Fax:(0866)94-2199/Email:watanabe@cse.oka-pu.ac.jp

* 一般セッション

 設計工学・システムに関するものであれば何でも結構です.従来の機械工学の範疇にとらわれずに応募下さい.
申込み/問合せ先: 鈴木 宏正(東大)Tel:(03)5841-6490/Fax:(03)5841-8552/Email:suzuki@cim.pe.u-tokyo.ac.jp


第10回設計工学・システム部門講演会 解析コンテスト

 現在,有限要素法や境界要素法や差分法はあらゆる業界で利用され,多くの解析ソフトがあります.ただし,使用されている要素の形状関数や要素上の積分法,時間方向の積分法,更に固有値解法などによっても,同じ精度で問題を解こうとしても,必要な要素分割数や解析時間が異なったり,その仕様によっては解けない場合があります.本コンテストではソフトウェアを提供する側とユ−ザ側がそれぞれ最新の情報を提供し,より有効な利用法,今後の研究開発に役立てるべく大いに議論することをねらいとしています.

《内容》
 参考にすべき解析方法や解析結果を第10回設計工学・システム部門講演会(D&S'00)で発表していただくと共にその概要を会場に掲示致します.更に,ユ-ザ側からは解析ソフトに追加すべき機能を,ソフトの提供者・研究者側からはその機能追加の可能性などを中心に掲示場に於いても大いにディスカッションを行うことをねらいとしています.皆様の積極的な参加をお待ちしております.

《テ−マ》
解析シミュレーションであれば何でも可.

《申込方法》
 第10回設計工学・システム部門講演会の申込方法に準じます.WebページまたはFaxにてお申込みください.

《問合せ先》
萩原一郎(東工大)Tel&Fax:(03)5734-3555/Email:hagiwara@mech.titech.ac.jp


第10回設計工学・システム部門講演会 ラピッド・プロトタイピング・コンテスト

 近年,CAD等でモデリングした3次元形状データに基づき,自動的,短時間に固化成形を行なう,様々なラピッド・プロトタイピング技術が注目されています.ラピッド・プロトタイピングにより,設計現場における試作,検討に要する期間とコストを削減し,一方,設計教育においても,学生の設計を実際に製作し教育効果を高めること等が期待できます.

《内容》
 各参加者の設計をラピッド・プロトタイピングにより実体化し,講演会(D&S'00)会場に展示いたします.展示された作品および作品についての簡単なプレゼンテーションについて審査を行い,最優秀作品を部門表彰いたします.ラピッド・プロトタイピング設備をお持ちの参加者については,実体化した作品をご提出いただきますが,お持ちでない参加者については,熱溶解積層法の場合に限り,必要なCADデータ等をご提出いただき,当方で造形を行なうことも可能です.データ形式等の技術的詳細は,参加申込をいただいた方に,別途お知らせいたします.作品のテーマ,応募資格は特に限定いたしません.なお,応募者多数の場合には,実行委員会にて採否を決定させていただきますので,ご了承ください.

《申込方法》
 第10回設計工学・システム部門講演会の申込方法に準じます.WebページまたはFaxにてお申込みください.研究発表申込書の特定セッションの欄に「ラピッド・プロトタイピング・コンテスト」とご記入ください.また,講演要旨欄に,作品の簡単な説明,データ作成に使用したCADソフトウェア名,ラピッド・プロトタイピング装置の有無をご記入ください.

《申込み/問合せ先》
東京大学 大学院工学系研究科 産業機械工学専攻  村上 存
〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
Tel:(03)5841-6327/Fax:(03)3818-0835/Email:murakami@mech.t.u-tokyo.ac.jp


日本機械学会2000年度年次大会 設計工学・システム部門関連行事のご案内
開催期間: 2000年8月2日(水)〜4日(金)

開催場所: 名城大学天白キャンパス(名古屋市)
交通機関等は年次大会ホームページhttp://www.jsme.or.jp/2000am/でご確認ください.

基調講演:
(8月4日 第34室)
10:00-11:00 設計の基礎研究・応用研究  冨山哲男(東京大学)

設計工学・システム部門の主催する企画:

(8月2日 第34室)
13:00-16:00 マルチメディア・バーチャル・ラボ-構想と基盤技術-
16:10-17:10 ハプティックディスプレイ

(8月3日 第34室)
9:30-12:00 VRプログラミング
13:30-15:15 ヒューマンインタフェース1
15:25-17:10 ヒューマンインタフェース2

(8月4日 第34室)
10:00-11:00 設計の基礎研究・応用研究
11:10-12:10 インバース・マニュファクチャリング
13:30-14:30 次世代設計技術
14:40-15:55 一般講演

設計工学・システム部門の関係する部門横断企画:

(8月3日 第10室)
センサ・アクチュエータシステムとその知能化
10:00-11:00 知能メカトロニクス(その1)
11:00-12:00 知能メカトロニクス(その2)
13:30-15:00 センサ・アクチュエータシステム1
15:10-16:10 J24-2 センサ・アクチュエータシステム2
16:20-17:20 J24-3 実環境で活躍するメカトロニクスをめざして

(8月4日 第5室)
最適化問題と逆問題
9:15-10:30 薄板構造
10:30-12:00 形状最適化
13:30-15:00 最適計画
15:10-16:40 創発

(8月4日 第36室)
13:30-15:30 21世紀への取組み:ライフサイクルデザインと教育

部門同好会:

日時: 8月4日(金) 18:00〜
参加費: 5,000円
会場: 名城大学内


「バイオニック・デザイン(生物に学ぶ設計法)」研究調査分科会(P-SC303)報告
活動期間:1998年4月〜2000年3月
分科会主査:尾田 十八

 21世紀の「物造り」は,その造られた物が人間社会はもちろん,自然生態系に 調和したものでなければならない.本分科会ではこのような高度な「物造り」の 方法論としての設計法を,生物の運動,構造,組織はもちろん,その発生,消滅 に到るまでの広範囲な挙動を調べることから明らかにすることを目的として平成 10(1998)年4月に設置された.特に調査・研究する事項として,次の3つの点 に重点を置いた.

  1. 新しい材料を開発する立場
  2. 新しい機構,構造を開発する立場
  3. 新しい工学システムやアルゴリズムモデルを開発する立場
 以上の各項目に関連した事項に対して,本分科会ではその2年間の設置期間に おいて7回の分科会を開催し,それらの調査・研究を行った.具体的には本分科 会委員を中心に,外部講師も含め次のような計23件の関連する話題提供とそれらについての討論を行った.

  1. バイオニックデザインの現状と将来(尾田十八)
  2. ヒトと相性の良い技術(本川達雄)
  3. 生体の形状適応挙動に関する定式化(畔上秀幸)
  4. 創発と設計(上田完次)
  5. 身体のコミュニケーション(渡辺富夫)
  6. 骨の残留応力と再構築の現象論的モデル(田中正夫)
  7. 医用材料創成とバイオニック・デザイン(田中志信,山越憲一,石原一彦)
  8. バイオミメティックス−生体構造から材料システムについて何が学べるか− (岡本秀穂)
  9. 人工関節開発とコンピュータ(藤田正彦)
  10. 腸管運動の力学と運動制御機構(伊能教夫)
  11. 動物に学ぶ重力共生設計(山崎信寿)
  12. 骨のコンピュテーショナル・メカニクスの現状と展望(坂本二郎)
  13. 遺伝的アルゴリズムと応答曲面による複合材料構造設計(轟 章)
  14. 植物のコミニュケーション(三輪敬之)
  15. 骨梁構造の解析と骨の外部環境への適応性の考察(多田幸生)
  16. 重力と生命現象−Rouxのバイオメカニクスについて−(西原克成)
  17. 動作構造物の創成について(吉村 允)
  18. 人工的荷重負荷の骨成長への影響(高久田和夫)
  19. 骨梁リモデリングによる海綿骨の力学的適応シミュレーション(安達泰治)
  20. 粘液を利用する医用小型ロボットの推進(池内 健)
  21. 二関節イルカ形水中推進機構の解析と実験(中島 求)
  22. 高速魚を模倣した振動翼推進(森川裕久)
  23. 細菌の推進機構と細菌型マイクロロボットの概念(後藤知伸)
 さらに最終分科会(第7回)では,バイオエンジニアリング部門と共催の形で バイオサロン「バイオミメティクス/バイオニック・デザイン」を開催し,これ に関連する資料も作成した.この資料および本調査研究分科会の成果報告書は学 会図書室に保管されているので,希望の方はこれらを閲覧またはコピーサービス(有料)を受けることがでます.また本分科会のメンバーは以下の方々です.(五十音順,所属は設置時のもの.)

主査 尾田 十八 金沢大学工学部人間・機械工学科
幹事 山崎 光悦 金沢大学工学部人間・機械工学科
委員 畔上 秀幸 豊橋技術科学大学工学部機械システム工学系
 安達 泰治 神戸大学工学部機械工学科
 伊能 教夫 東京工業大学情報理工学研究科情報環境学専攻
 岡本 秀穂 住友化学工業(株)有機合成研究所開発グループ
 坂本 二郎 金沢大学工学部人間・機械工学科
 高久田 和夫 東京医科歯科大学医用器材研究所
 多田 幸生 神戸大学工学部情報知能工学科
 但野 茂 北海道大学大学院工学研究科機械科学専攻
 轟 章 東京工業大学機械宇宙学科
 田中 基八郎 埼玉大学工学部機械工学科
 田中 正夫 大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系専攻
 冨田 佳宏 神戸大学工学部機械工学科
 福田 武人 大阪市立大学工学部機械工学科
 三木 光範 同志社大学工学部知識工学科
 三輪 敬之 早稲田大学理工学部機械工学科
 本川 達雄 東京工業大学生命理工学部基礎生物学科
 山越 憲一 金沢大学工学部人間・機械工学科
 山崎 信寿 慶應義塾大学理工学部機械工学科
 吉村 允孝 京都大学大学院工学研究科精密工学専攻
 渡辺 富夫 岡山県立大学情報工学部情報システム工学科


日本機械学会 設計工学・システム部門・部門賞公募のお知らせ
設計工学・システム部門 表彰委員会

 日本機械学会 設計工学・システム部門の発展に大きく貢献した方への部門賞(功績賞),またこの分野に関連する研究または実務において大きな業績をあげた方への部門賞(業績賞)授賞の公募を行います.自薦・他薦を問わず,応募者は2000年7月31日(必着)までに,以下の内容の記事を日本機械学会事務局[担当職員 大室孝幸 Email: ohmuro@jsme.or.jp, Tel: 03-5360-3504, Fax: 03-5360-3507]までお送りください.

  1. 受賞候補者氏名,所属,連絡先(住所,電話番号,Fax番号,Emailアドレス),功績賞と業績賞の区別
  2. 自薦・他薦の区別.他薦の場合,推薦者の氏名と所属,電話番号,Emailアドレス
  3. 受賞の理由(200字程度)

講習会「設計プロセスの革新技術」(No.00-46) 教材販売のお知らせ
 講習会「設計プロセスの革新技術」(東京工業大学,2000年6月26日〜27日,内容はこちら)教材(A4判91頁,5,000円)に若干の残部がありますので,購入ご希望の方は下記までお問い合わせください.

日本機械学会 大室 孝幸
  〒160-0016新宿区信濃町35番地信濃町煉瓦館5階
  Tel: 03(5360)3504  Fax: 03(5360)3507


第9回設計工学・システム部門講演会 講演論文集販売のお知らせ
 第9回設計工学・システム部門講演会(大阪大学,1999年11月28日〜12月1日,内容はこちら)講演論文集(A4判607頁,10,000円)に若干の残部がありますので,購入ご希望の方は下記までお問い合わせください.

日本機械学会 大室 孝幸
  〒160-0016新宿区信濃町35番地信濃町煉瓦館5階
  Tel: 03(5360)3504  Fax: 03(5360)3507


発行日:平成12年8月10日

このニュースレターに関するご意見,ご希望,お問い合せ等は,下記までお願いいたします.

日本機械学会設計工学・システム部門
(部門ホームページ http://www.jsme.or.jp/dsd/)
広報委員長 村上 存
  〒113-8656 東京都文京区本郷7‐3‐1
  東京大学大学院工学系研究科産業機械工学専攻
  Tel: 03(5841)6327  Fax: 03(3818)0835
  Email: murakami@mech.t.u-tokyo.ac.jp
学会担当職員 大室 孝幸
  〒160-0016新宿区信濃町35番地信濃町煉瓦館5階
  Tel: 03(5360)3504  Fax: 03(5360)3507

編集・印刷:生々(せいせい)文献サービス
東京都渋谷区千駄ヶ谷 3-13-22-410
電話03-3478-4062, Fax 03-3423-4338

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