更新:2019/4/10

このページでは、部門長挨拶、設計工学・システム部門の創設の背景と、この部門が対象とする分野および領域について紹介します。

第97期部門長挨拶
山崎 美稀(日立製作所)
第97期部門長 山崎 美稀

この度、第97期部門長の大役を仰せつかりました。小木哲朗副部門長、大竹豊幹事をはじめ、運営委員会委員、アドバイザリーボード、部門を支えて頂いている皆様、事務局の皆様とともに、部門ならびに学会のさらなる発展に尽力して参りますので、何卒よろしくお願いいたします。
本部門は今年で創立28年となります。28年前、当時の創設背景には、設計対象の「質」の確保の課題、設計を行なうための「効率化」の課題がありました。これらは設計への要求が多様かつきびしくなっていることが起因していたからだと考えます。その他にも製品の責任問題などの信頼性確保の課題、先端技術の製品への取り込みや、感性など製品に対する人間的視点の重視、さらに地球環境への対応や省エネなどがあり、これらの内容はすべてが設計の方で対応すべき課題であります。これらの課題は28年経った今でも日本のものづくりを取り巻く重要な課題として顕著に表れています。特に近年は、急速なコンピュータとインターネットの普及により、ものづくり産業は急速に変化しています。特にデジタル化の技術は、プロセスに大きなイノベーションをもたらしたと言えます。その一方では、デジタル化の影の部分も見え始め、次の時代ではどのように影の部分をなくし、全体的な最適化を行うかを考える時期に来ています。このような状況に対処するために,新たなデジタル技術の適用とそれによる課題を解決することにより,設計から製造までのバリューチェーン全体を考慮した設計工学を考え、設計者を支援する方法を考える部門をめざして行きたいと思います。
具体的に、次の2つの施策を展開して行きます。まず、本部門が対象とする分野及び領域は、設計理論・設計方法論・設計学、設計知識、製品開発・情報管理、設計組織、システム工学、ライフサイクルエンジニアリング、デジタルエンジニアリング、ヒューマンインタフェース、感性工学、人工物工学の展開、新しい人工物など、極めて広範囲にわたっておりますが、これらの対象とする「@設計分野を融合することによりバリューチェーン全体を考慮できる設計工学を考えて行きます。」また、本部門は広範囲な分野活動のために8つの研究会が設置されて自律的に活発に進められています。8つの研究会の連携と総括をするために「A次世代の設計工学を創造する研究会を設立させ、次世代の設計に対応できる設計者の支援策を考えて行きます。」次世代の設計工学ではユーザ要求と現場課題のデータ分析により、可視化される本質を用いて,革新的なアイディアの発想とAIやIoTなどのデジタル技術をフル活用できる工学を目指していきます。
部門活動においては、総務委員会と拡大運営委員会では活動の環境を整え、さらなる活性化を進められるような舵取りに注力してまいります。また、WEB会議の導入により効率化を図り、より多くの会員にご参加いただき、SNSを通して会員相互の交流や会員から部門への要望を反映して行き、さらなる部門活性化につながるように舵取りしてまいります。
また、部門行事として,年次大会と部門講演会は毎年多くの方の参加によって行われる会員相互の交流の機会をより一層盛り上げてまいります。今年度の年次大会は9月に秋田大学で、また部門講演会は9月に東北大学で開催いたします。さらに、日中韓の学術交流を中心とした国際会議ACDDE2019(7月にマレーシアで開催)、そして日馬の学術交流を中心とした iDECON2019(9月に東北大学で開催)も部門の国際交流活動の活性化を図る活動として定着を目指していきます。加えて、産学からの多くの参加者を集め、 最新の技術動向を反映した実用例を通した理解と普及に寄与する講習会も今年度は6件が予定されています。多くの会員の皆様にとって活発な交流活動となるような盛りだくさんの企画となっておりますので、学術交流の場を広げる機会として、できるだけ多くの会員の参加をお願いします。
論文誌としては、日本機械学会論文集・Mechanical Engineering Journal, Mechanical Engineering Reviews, Mechanical Engineering Lettersの新学術4誌と、 本部門を含めた5部門合同で発行する英文ジャーナル誌JAMDSM(Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing)を発行しています。特集号の企画などもありますので、積極的な投稿をお願いいたします。
こうした従来からの活動に加えて、今年度はさらに新たな活動のきっかけを作りたいと考えております。前部門長の伊藤先生の後を引き継ぎ、本部門がさらに魅力ある交流の場となるように尽力して参りますので、部門活動への皆様の積極的なご支援・ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。

部門創設の背景

機械工学を取り巻く環境は転換期にあり、設計はいろいろな問題をかかえています。別すると一つは、設計対象の「質」の確保の問題であり、もう一つは設計を行なうための効率化の問題です。第一の点の問題は、設計への要求が多様かつきびしくなっていることです。製品の大型化や大量化さらにP/L(製品責任)問題など信頼性の確保はもちろん、先端技術の製品への取り込みなどのほか、感性など製品に対する人間的視点の重視、さらに最近やかましくなってきた地球環境への対応や省エネなどがあり、これらの内容はすべて設計に対する要求として発現するのです。第二の点についてはどうか。第一の点を実現するために設計の負担は際限なく増大しており、加えて最近の設計では設計期間の短縮も強く要求されます。これに対処するためにCAD/CAM/CAE、AIなどのコンピュータ利用技術が採り入れられるわけですが、それらは情報分野における、例えばニューロやファジイなどの新しい技術にも関連しており、それらの理解はさらに新しい課題として設計者に課せられることになります。このような状況に対処するためには、正面から設計に取り組み、設計者を支援する方法を考える部門が学会に不可欠です。

(赤木新介「設計工学・システム部門設置の背景」より)

対象とする分野および領域

設計工学・設計方法論・設計学 CAD/CAM/CAE ,シンセシス,アナリシス,アブダクション,創発,場の理論,発想・創造支援,創発的計算法,タグチメソッド, QFD , TRIZ , DfX
設計知識 設計哲学,設計原理,設計公理,設計知識処理技法,設計知識マネジメント,設計知識共有・再利用,機能モデリング
製品開発・情報管理 製品モデル,製品開発,プロジェクト・マネージメント,コンカレントエンジニアリング, PDM , SCM , EPR ,ディジタルモックアップ,ラピッドプロトタイピング
設計組織 ビジネスモデル,エンタープライズモデル,設計生産性,グローバルエンジニアリング
システム工学 分散・協調,コラボレーション,インターネット応用技術,データベース,遠隔教育
ヒューマンインタフェース 身体性メディア技術,バーチャルリアリティ,ハプティックス,モバイル,ウェアラブル, IPT ,実世界指向
人工物工学の展開 人工物工学,サービス工学,ライフサイクル工学
新しい人工物 マイクロマシン

部門活動実績