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トンネル顕微鏡

tunneling microscope

 金属探針と導電性試料の表面の間に,数Vの電圧をかけるとトンネル効果により,その間に電流が流れることを利用して,試料表面を観察するもので,1982年に登場した型の電子顕微鏡である.分解能は,表面に平行な方向に0.5nm以内,深さ方向に0.01nm程度と高く,原子の一つ一つが識別でき,結晶表面の原子構造,電子状態,原子や分子の吸着過程などを観察できる.測定には,三次元的に移動できるピエゾ素子に原子オーダで先端がとがった金属探針を取付けたものを用いる.探針を試料に近づけると,ナノアンペアオーダのトンネル電流が流れるが,探針と試料の距離の変化に対してきわめて敏感であり,距離が0.1nm変わると電流は1けたほど変化する.トンネル電流が一定になるように,ピエゾ素子にかける電圧を制御しながら試料表面に沿って走査すると,試料表面の凹凸に対応する探針の上下動を検出でき,電圧の変化を画像化することにより試料表面像を得ることができる.試料を損傷することなく,空気中や液体中でも観察できる利点がある.

08/1009335.txt · 最終更新: 2017/07/19 08:48 by 127.0.0.1