高強度材料ほど脆性破壊を生じやすく,微少欠陥でも破壊の原因となりやすい.この場合,主き裂前方にミクロ割れが生じると割れ進展を助長するが,割れ面の上下に生じるものは応力集中を緩和するのに加え,主き裂を偏向させることにより材料の高靭性化に寄与する.例えばチタン合金では,結晶粒中の針状組織などの微細組織を適当に制御することにより,応力集中部にミクロ割れを発生させ,破壊抵抗曲線(Rカーブ)を上昇させるマイクロクラックタフニングの考えが応用されている.セラミックスや金属間化合物などの高靭性化にも同様の技術が応用されている.