物理現象を支配する変数を組合せて無次元数を作り,それを基本的なパラメータとして現象を整理し,より一般性のある理解を得る手段として,相似則が用いられる.例えば,流れの支配方程式を代表寸法,代表速度など代表変数を使って無次元化すると方程式の無次元パラメータとしてレイノルズ数,マッハ数などが現れる.無次元パラメータが同じであれば,代表寸法など代表変数の値が異なったとしても,無次元方程式は全く同じとなる.両者の流れの力学的相似性は両方の流れに対応する無次元パラメータを同じにすることによって成り立ち,両者の流線や等圧面は幾何学的に相似となる.(特にレイノルズ数に関する相似則をレイノルズの相似則と呼ぶ.)工業的な流れ問題は,実物と幾何的に相似な模型によって実験を行い,解決されることが多い.相似則は模型における流れと実物での流れとの換算則を与える.この場合,すべての無次元数を同じにすることは困難なので,場合に応じて主要なものが選ばれる.現象の支配方程式が未知の場合でも,次元解析によっても現象を支配する無次元パラメータは得られる.現象に関係する物理量の数がm個,これらの物理量に共通する基本次元の数がn個のとき,m-n個の無次元数が得られる.ただし,現象に関係する物理量を正しく推定することが重要である.