原子炉において核分裂の連鎖反応が持続し,熱エネルギーが発生できるように,核分裂性同位元素を含むウラン,プルトニウムなどの核燃料物質を,金属,酸化物,炭化物,窒化物などの形態に成形,加工,組立てた単位構造体をいう.核燃料物質を溶液化,液体金属化したものもある.核分裂反応の媒体で分類し,高速中性子を使用する高速炉燃料,また高速中性子の減速する材料により軽水炉燃料,重水炉燃料などがある.原子炉への装荷時期で分類して初装荷燃料,取替え燃料と呼ばれることがある.現在の原子力発電の主たる核燃料は軽水炉燃料であり,中性子の減速材兼冷却材である軽水の状態で沸騰水型燃料あるいは加圧水型燃料に分類される.軽水炉燃料は,二酸化ウランを成形・焼結して,ペレット化し,ジルコニウム合金の被覆管に装てんして燃料棒とする.これを一定間隔の格子形に束ねて,燃料集合体として原子炉に装荷する.軽水炉燃料はウランの核分裂性同位元素として235Uを用いるが,天然ウランには0.71%しか含まれない235Uを濃縮した低濃縮ウランを使う.また,ウランの同位元素238Uは,核的変換を経ると,Puなど超ウラン元素同位体になる.そのうち239Puなどは,核分裂性の核燃料物質として235Uと同様核分裂反応を起こしうるので使用済み燃料を再処理,精製,再加工して原子燃料として利用できる.