日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第26号

三居沢発電所関係機器・資料群

 三居沢発電所は、1888(明治21)年に宮城紡績会社が我が国で最初の水力発電により電灯の明かりを点した発電所である。その後、水車発電機の容量変更などを経て、1910(明治43)年より運転を継続している現役の水力発電所であり、1951(昭和26)年に東北電力株式会社が継承した。建屋は登録有形文化財に指定されている。発電所出力は、最大1,000kW、常時290kWで運転しており、動態保存と言うのがふさわしい。
 1978(昭和53)年に遠隔監視制御化されているが、発電機は1924(大正13)年に更新されたシーメンス社製三相3,300Vのもので、一部原型を残す形で使用されている。発電所の水圧鉄管は更新されたものであるが、それに隣接して当初の水路跡のレンガ構造物が残存している。
 隣接した三居沢電気百年館からは、稼動中の発電所内部が観察できる。また、ここには発電所の当初に使用されたものと同型の工部大学校設計の5kW直流発電機が保存展示されているほか、発電所施工図面など、東北の電気に関わる先人達の紹介、電気史記録映画(ビデオ)の視聴設備と併せて、東北の電気史が理解できるように工夫されている。また、余剰電力を用いて1902(明治35)年我が国で初めて電気炉によるカーバイト製造に成功しており、その意味でもこの施設(及び遺構)は貴重な存在である。

《写真提供:東北電力株式会社》

公 開

東北電力(株)三居沢電気百年館

開館時間:
10:00~16:00
入館料:
無料
利用できない日:
HPをご参照ください
住  所:
〒980-0845 
宮城県仙台市青葉区荒巻字三居沢16
電話番号:
022-261-5935
HPアドレス:
https://www.tohoku-epco.co.jp/pr/miyagi/sankyozawa.html
交通機関:
JR仙台駅より車で15分
仙台市営バス三居沢交通公園下車徒歩3分

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