日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第25号

東京帝国大学水力学及び水力機講義ノート
(真野文二/井口在屋教授)

 本資料は東京帝国大学工学部機械工学科における1905(明治38)年当時の講義ノートである。
 第1冊は『水力学及水力機』で、前半のHydraulics(水力学)は井口在屋教授、後半のHydraulics Machinery(水力機械)は真野文二教授によるものである。授業中に配布された資料、試験問題のプリントなどから当時のレベルの高さが偲ばれる。
 機械学会初代幹事長(会長)の真野文二教授(1881(明治14)年工部大学校卒業)は、1886(明治19)年から3年間イギリスに留学後、1889(明治22)年〜1913(大正2)年まで帝国大学工科大学(工部大学校が東大に合併)教授として教鞭をとる。その間、イギリスの権威ある技術者の会(I. Mech. E)の会員に推薦され、1897(明治30)年に機械学会を創設、初代幹事長(会長)となる。同氏の資料は乏しく、今回の同教授による肉筆の試験問題などは貴重な資料である。第2冊は「数学第二」で講義者は記入されず不明だが、内容は解析学の講義(微分学、積分学、微分方程式)内容である。
 この講義ノートの筆記者は小田村有芳(つねか)氏で、授業後自宅で清書したものであると思われる。同氏は1906年(明治39年)東京帝国大学工学部機械工学科を卒業、恩賜銀時計拝受の秀才であった。また同氏は、畠山一清氏(荏原製作所創設者)と同級である。この講義ノートは子息小田村四郎氏(前拓殖大学総長)が所持していたが、今回日本機械学会に寄託された。

《写真提供:日本機械学会》

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