
日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第79号
二段膨張式船舶用蒸気エンジン
本機は、1911(明治44)年製の小型木造蒸気船『たちばな丸』(22トン)の主機関として搭載されていた出力97馬力の二段膨張式船舶用蒸気エンジンである。二段膨張式とは、蒸気を高圧と低圧のシリンダーで順次膨張させ、蒸気が節約できる方式である。
『たちばな丸』は兵庫県が所有し、大蔵省神戸税関の監視船として使用され、戦後は海上保安庁、さらに1952(昭和27)年には神戸商船大学(現神戸大学)に移管され、同大の実習船として1964(昭和39)年まで通算53年稼働した。その後は、蒸気エンジンのみが同大の実験室に保管されていたが、2004(平成16)年に修復され「みちのく北方漁船博物館」に展示された。同館の閉館に伴い、2014(平成26)年からNPO法人発動機遺産保存研究会が保存展示している。
船舶用蒸気エンジンは日本の産業革命を支えた機械のひとつである。多段膨張式往復蒸気エンジンは、船舶の大出力化に対応するため19世紀後半に開発され、蒸気タービンに主役の座を譲る20世紀中期ごろまで活躍した。
本機は、蒸気運転が可能な二段膨張式船舶用蒸気エンジンとして保存されており、さらに官用の任務や船舶技術者教育に使われてきた社会的意義も大きい。
《写真提供:NPO法人発動機遺産保存研究会》
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酒井発動機保存場
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