日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第93号

ブラウン管ガラス製造装置

 日本では、1953(昭和28)年にテレビの白黒放送、1960(昭和35)年にカラー放送が開始された。当初はブラウン管が使われ、画面(フェース)と後部(ファンネル(漏斗))を別々に成形した後、封着した。内部は真空である。ブラウン管ガラスは米国からの技術導入(ファンネルは遠心鋳造成形)により国内生産が開始された。
 1968(昭和43)年、日本電気硝子(株)のファンネルプレス機の登場は、ブラウン管の製造を遠心鋳造法からプレス成形法へと転換させた。従来の遠心鋳造法では不可欠だった接合面の研磨を大幅に減少させ、加工精度の向上、設計自由度の向上など、ブラウン管の品質と生産性を飛躍的に向上させ、テレビの普及に貢献した。特に、この製造技術による24インチ以上の大型テレビのシェアは、1980(昭和55)年代末には、ほぼ世界市場を独占した。2014(平成26)年には、ブラウン管製造は世界的にみても皆無となったが、プレス成形技術は、耐熱容器やガラスブロックなどの製造に使用され、今でも活躍している。
 本機は純国産機として製造可能となった1977(昭和52)年製で、金型と台座がモニュメントとして、国内生産拠点であった同社滋賀高月事業場に保存展示され、ブラウン管の形状を今に伝えている。

《写真提供:日本電気硝子株式会社》

非公開

日本電気硝子株式会社 滋賀高月事業場

住  所:
〒529-0292 
滋賀県長浜市高月町高月1979
電話番号:
0749-85-2233
HPアドレス:
http://www.neg.co.jp/
交通機関:
JR北陸本線高月駅から徒歩15分

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