日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第96号

新津油田金津鉱場
―採油と製油技術の証―

 新潟県の新津地域では、明治以前から原油採取が試みられていたが、崩壊性地層のために事業化には至らなかった。その中で、手掘採掘に成功した中野貫一などの油田開発により、明治末には産油量日本一となり、中野は日本の石油王と呼ばれた。最大産油量は1916(大正5)年には15万キロリットル/年に達した。
 ここでは、1890年代の機械掘り導入と相前後し、簡便な上総掘りが掘削に適用された。これは、地層特性に合致し、安価に掘削できたことから、周辺に一気に普及した。
 最後まで残った金津鉱場は、1996(平成8)年に閉業した。現在その遺構群は、「石油の里公園」として整備されている。ワイヤーを介し、複数の油井を駆動するポンピングパワー(1基1918(大正7)年頃)をはじめとした機器が保存され、インフォメーション施設、「石油の世界館」を起点に、我が国では数少ない石油採掘の実物資料に間近に接することができる。これら一連の遺構は、2018(平成30)年には、「新津油田金津鉱場跡」として国の史跡指定を受けた。
 ここは、国内の採油技術の変遷を語るとともに、地域特性に合致した旧来技術の適応が、闇雲な最新技術導入に勝ることもあるという教訓を浮き彫りにしている。

《写真提供:新潟市》

公開

新潟市石油の里公園

住所:
〒956-0845
新潟県新潟市秋葉区金津1193番地
HPアドレス:
https://www.city.niigata.lg.jp/akiha/about/kankou/oil/sekiyu_kouen.html
 

石油の世界館

開館時間:
9:00~17:00、入館は16:30まで
入館料:
無料
休館日:
毎週水曜日・年末年始
住所:
〒956-0845
新潟県新潟市秋葉区金津1172番地1
電話番号:
0250-22-1400
HPアドレス:
http://www.shiteikanrisha.jp/sekiyu-sekaikan/
交通機関:
JR信越本線矢代田駅から徒歩30分

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