日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第108号

新幹線開発に貢献した車両試験装置

 この車両試験装置は旧国鉄が、国内電化の進展や動力近代化に対応するため、鉄道車両の走行状態を研究する目的で設置した定置式模擬試験装置である。最も標準的な車両1両を試験装置上に搭載する実車試験(最高速度250km/h)の他に、台車単体の試験(最高速度350km/h)が可能である。日立製作所によって製造された本装置は1959(昭和34)年に設置された。線路の役割を果たす軌条輪上に車輪を載せて回転させ、上下方向に加振できる機能を備え、軌条輪側を駆動し車両の運動特性を調べる試験と車両側を駆動し、はずみ車等で負荷を与え、高速走行時の車両運動特性試験などができる。また、駆動用電動機による外部駆動試験および変動負荷動力試験にも対応し、付設の制御・計測室から負荷を制御できるようになっている。本試験装置が全て完成した1960(昭和35)年から当時開発中の東海道新幹線用試作台車による試験が開始され、この結果により台車の仕様が決定されるなど、新幹線車両の開発に大きく貢献した。本装置は、主要な試験を1990(平成2)年完成の高速車両試験装置(最高速度500km/h)に譲ったものの、現在も試験装置として現用されている。

《写真提供:公益財団法人鉄道総合技術研究所》

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公益財団法人鉄道総合技術研究所 国立研究所

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