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視野を広げよう

日本機械学会東北支部長
小林 陵二

 人類が長年にわたって築き上げてきた文化を,われわれはこれを守り,子孫に伝えなければならない.特に科学技術の場合にはそのまま子孫に伝えるだけではなく,これを進歩発展させて次の世代に引き継ぐことが現在に生きるものに課せられた責務である.
 日本機械学会が全国的規模の学生会という組織を作りこれを育ててきたのはまさにその趣旨によるものであって,次の時代を担う学生会員に対して、機械学会が期待するところは極めて大きいといえる.30周年を迎えた学生会は機会学会の中で重要な役割を演ずるほどに成長しており,誠に心強くく思うとともに,学生員の諸君に心からお祝いを申し上げる次第である.
 東北支部としては,このたび全国学生会とその30周年記念の行事がこの東北地区で開催されることになったことは大変幸運なことであったと思う.研修会と記念行事が盛大に執り行われたことを禅ぶとともに,東北学生会の諸君がその経験によって得たものは計り知れないほど大きかったに大きかったと思う.人の交流の大切なこと,有益なこと,楽しいこと,いろいろなことを感じているのではないか.
 実際,他との交流は自分自身の視野を広げるためには非常に重要である.個々人の視野は読書,勉学,思考によって育ててきたとはいっても限られたものであって,東北学生会といったグループの人との交流を通じて他人の経験を聞き,意見を交換することによって個人では作り得ない広い視野を持つことができるようになるのである.そのことは同様にして全国学生研修会に全国から東北に集まってきた各地区学生会の友人の間の交流によってさらに広げられたことであり,今後,世界各国の学生会のような組織やグループと交流する機会があれば,個人の視野は世界的に地球規模で拡大することが期待されるわけである.
 30年は決して短い歳月ではない.毎年,入学し卒業して行く学生諸君によって学生会が途絶えることなく引き継がれ運営されてきたことは,本文の最初に述べた日本機械学会にとって学生会が後継者として大切であるということだけではなく,学生諸君にとっても自分自身の視野を広げるのに大いに役立っていることを感じているためであろうと思われる.交流の輪は大きければ大きいほど良い.多様な経験が得られるからである.皆んなで誘い合って東北学生会が一層活溌な活動をすることを期待している.

(東北大学工学部機械知能工学科 教授)



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