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ロボコン’91

八戸工業高等専門学校
機械工学科 4年 中村 寿則

 1991年6月の放課後,本年度のロボットコンテストのアイデアを出し合う集まりの中に,昨年の経験者ということで,私もいた.
 細部まで詳しく考えたアイデアを出し討論している中,私のアイデアはベルトコンベアを二つ向かい合わせにしたものに脚をつけただけのほとんど落書きに近いものであった.ちょっとした思いつきの形を沓いただけであったので,ベルトの摩擦だけでは箱を持ち上げられないのではと考えていたほどだった.
 しかし,なんとかまとめ,他のアイデアと合わせて4つの案をNHKへ送り,その中から私と山崎先輩のアイデアが採用された.
 製作は主に夏休みを利用して行われた.製作者は9人,中には合宿までしてくれた人もいた.いくつかの部門に分かれて設計,製作を行うことにし,重量制限が厳しいため材料の選択の議論が海日のように行われた.その中で最も議論されたのはやはりベルトコンベアのベルトとローラーであった.どちらもかなりの重量が予想され,いろいろな案が出された.議論の結果,ベルトは布地にシリコンゴムを塗り摩擦を大きくしたものを用い,ローラーは水道管凍結防止用の発砲スチロールのパイプを用いることにした.箱が本当に持ち上がるかが不安であったので,試作一号機は機構重視で製作した.また,製作時間の短縮のため駆動部はすべて共通なユニットとして設計,製作した.こうして出来た一号機は我々の不安を全て取り除いてくれるほどの動きを見せてくれたが,12kgfと規定重量をかなりオーバーした.
 そこで,2号機はフレームを細く,ベルトコンベアを小さくと文字通り骨身を削り,その結果8kgf以内に納めることが出来た.しかし,強度が著しく落ち,手でちょっと押すだけでユラユラとゆれる始末であった.
 昨年はロボットの管理の甘さから失敗したため.今回は移動用の台車を作り,練習などの移動時におけるロボットの損傷をできるだけ防いだ.しかし,強度不足が試合中の一番の不安であった.
 東北大会では準優勝という予想以上の成績を納めることができたが,チーム中の誰か一人でも欠けていたらこんな良い成積は取れなかったと思う.発案者ということでリーダーをやったが,先輩のサポートや後輩との信頼関係がなかったら,何も出来なかったと思う.ロボットの勝利ではなく,チームワークの勝利だと声を大にして言いたい.


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