目次へ戻る   前のページ   次のページ


ソーラー力一奮闘記2

秋田大学 大学院
機械工学専攻  久田 仁也

 去る7月29日から4日間、秋田県大潟村に今年新設されたソーラースポーツラインにおいて「'94 W.S.R JAPAN in Ogata」が開催され、我々機械工学科を中心にしたTEAM ASCAをはじめ海外2チームを含むおよそ70チームがエントリーした。昨年度の大会ではゴーカートのフレームを利用した非常に重く当たり負けしないボディで参加したため、数度のパンクに見舞われるなどトラブル続出で総合22位、クラス10位に終わったが、今年はこの反省を踏まえて2年目にしてフルモデルチェンジを敢行、軽量なカーボンモノコックのボディと新しいモータを搭載した”ASCA-2号”(あすか2ごう)で上位入賞を目指した。
 7月30日(土)晴れ
 前日の予選の結果、17位からのスタート。この位置から前方を見ると予選1位の車がはっきりと確認できる。昨年の大会ではスタートから実際動き出すまでかなりの時間がかかり、マラソンの一般参加者ぐらい後方のグリットだったことを考えると、格段の進歩である。午前9:00、号砲を合図に各車一斉にスタート。我々のピットの前を快調に通過していく。その後もトラブルなく順調に周回を重ね、午後5:00に9周(約280km)して走行を終えた。初日順位は総合13位、クラス3位。表彰台への色気が出始める。
 7月31日(日)曇り一時雨
 午前8:00スタート。昨日とはうって変わって日差しがそれほど強くない。しばらくして、ドライバーから小雨がぱらつき始めたとの無線連絡が入る。私たちのいるピット周辺では曇ってはいるが、雨が降るほど天候が悪いようには見えないのだがそこは大潟村。なにせ見わたす限りの田園が山手線をひと周り大きくしたほど広がっているところを横断しようとするのだから、まさに”ちびっこ北海道”といった感じである。10km先が土砂降りでも不思議はない。さらにこのASCA-2号は軽量化のために他車に比べてバッテリー量をかなり減らしており、最終日のことを考えるとスピードを抑え、バッテリーの酷使を避けたい事情がある。我々はただ、天候の回復とドライバーが感電しないことを祈るのみであった。
 2日目順位総合14位、クラス4位通算周回数14周(約430km)
 8月1日(月)曇り時々晴れ
 前日火を吹いたメーターパネル局りの修理も終え、午前8:00ちょうど、ASCA-2号最終日スタート。今日も天候は不安定で苦しい展開が強いられそうだ。その予想どうりここまでクラス4位をキープしてはいるが、3位との差がなかなか縮まらない。
 競技終了1時間前。本日7周目の周回を終えて戻ってきた。残り時間でもう1周できるかどうか微妙である。ここでピット前にきた心CA-2号に出したサインはGOサイン。あとは残り少ないバッテリーが最後までもってくれて、無事戻ってくるのを待つだけである。が、15km地点から無線連絡が入る。『とまっちゃたあ。』
 1周減算のペナルティーを食らい、牽引されてきた車を見て感傷に浸るのも束の間、そのあとは大ビールかけ大会。優勝したかのような大騒ぎに勘違いをした報道関係者が取材に来る始末。(隣のピットのA山学院大学、並びにF島高専の皆様、ご迷惑をおかけしました。)最終順位は総合20位、クラス6位ではあったが最後まで攻め続けた結果であるし、秋田県議会議長賞なる賞まで頂きメンバー全員満足していると思う。(県議会議長様、名前も顔も存じ上げませんがありがとうございました。)
 今年はソーラーバイシクルレース(ソーラーカーの自転車版)も同時に開催され、この大会も年々規模が大きくなってきています。この様な乱文では何の役にも立たないと思いますが、皆さんの中からソーラーカーに興味をもって参加して下さる方が増えてくれれば幸いです。その際は是非、秋田大学のピットにもお立ち寄りください。ビールならかけるほどあります。


目次へ戻る   前のページ   次のページ