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'96 エコラン奮闘記

八戸工業高等専門学校
機械工学科4年 安 達 太 志

 第16回ホンダエコノパワー燃費競技全国大会が、10月19日と20日に茨城県つくば市にある(財)日本自動車研究所<高速周回路>で行われました。僕達は、八戸高専自動車工学部としてこの大会に参加しています。僕が1年生の時に初めて参加してから、もう4回目になる今年は、マシンを1台増やし、計2台で大会に挑むことになりました。
 新しいマシンを作ることと、これまで改良を行ってきたマシンを作ることが重なり、作業はいっぱいありました。しかし、どうやら僕達部員は尻が重く、面倒な仕事は後へ後へ延ばしていくタイプの人が多いようで、結局、尻に火がついたのは大会一ヶ月前ぐらいでした。そのため、「やっつけ仕事」のオンパレードになり、車体のつじつまを合わせるのには、随分(自業自得の)苦労をしました。特に大変だったのは、エンジン周りのレイアウトです。こうして、マシンは何とか完成しました。
 本当は、何度も何度も試走をしてデータを取らなければならない地元での練習走行が、本当の練習程度の一回だけしかできませんでした。その時、小さな問題はありましたが、エンジンにトラブルはなく(とは言っても、殆どノーマルに近いエンジンでトラブルが起こる可能性は低いんですが・・・)、元気よくマシンは走ったし、ドライバーも少しは運転に慣れてくれたので、「これで何とか大会に間に合った」と、思ったそのときはすでに大会3日前でした。
 僕達の今年の目標は、一応リッターあたり500qでした。この目標は、約200q/Lだった1回目から、毎年、プラス100qは燃費を向上させたいということで設定されたものです。しかし、新しいマシンはさておいて、今まで煮詰めてきたマシンをみると、去年苦労して上げたエンジンの圧縮比をもどし、エンジン内の潤滑もしっかりできているのかどうかわからない状態だったので、500q/Lは無理じゃないかというのが、口にしないながらも部員みんなが思っていたことではないかと思います。そんな中、新マシンは、車体を殆どアルミパイプで作ったため全車体重量が30s弱と、僕達の予想を越えて軽量だったので、少しだけ期待していましたが、これもまたエンジンが本当のノーマルエンジンだったので、「ああ、今年はだめかぁ」と誰もがため息をつきそうな空気がありました。
 いろんな想いを胸に秘め、大会会場へ向かいました。会場に着くと僕達は、「記録よりまず完走」ということで頭がいっぱいになりました。どこか見落としている所はないか、ねじは全部締まっているか、スピードメータは動くか、オイルは、燃料は、バッテリーは・・・で大忙し。また、サインエリアでのサインの出し方、計時の方法の確認、と少しずつ緊張が高なっていきました。
 初日の記録会では、スピードメータが正確に作動せず、かなり速いぺ一スでゴールしましたが、無事完走できました。2日目もトラブルなく2台とも完走できました。僕達は今まで、決勝ではリタイヤしたことがないので、これだけは今後も続けたいと思います。記録はというと、やはり予想通り、去年の記録より落ちていました。
 僕達の部活は、よく、OBの方や相談にのってくれるバイク屋の人に、「環境はすごく良い」と言われます。全くその通りで、学校の工場はある程度自由に使えるし、頼りになる先生方、技官の方々もいます。後は、僕達の気持ちの問題で良くも悪くもなる部活です。そのため、強い信念と具体的な目標を持って、もっと部活動が活発になるように努力したいと思います。来年の目標は、500q/L。できるのに、時間がなくて改良できなかったなんてことは絶対になくしたいと思います。練習走行を何度も行い、多くのデータを利用してできる限りの改良をしたいと思っています。


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