森山 和道

本記事は日本機械学会連載「AI/Robot/IoT で変わる製造現場」のジュニア版です。

 

YKK APは、ビルの建設現場で建物の窓を取り付ける作業を自動で行うロボット「MABOT(マボット)」を開発しました。このロボットは、ビルの工事現場で窓の枠を正確に設置し、溶接して固定します。

MABOTは2つのロボットからできています。「Alignmenter01(アライメンター01)」は窓枠を正しい場所に設置し、「Welfixer01(ウェルフィクサー01)」はその窓枠をしっかりと溶接して固定します。


窓枠を正確な位置に自動設置する「Alignmenter01」

窓枠をTIM溶接して固定する「Welfixer01」は自律移動可能

これらのロボットは人と一緒に作業するように作られています。自分で地図を読み取って動くことができ、低い場所から高さ3.2メートルまで作業ができます。熟練技術者でなくても難しい工事を行えるようにするために、さらに改良された新しいロボットも開発中です。安全性を高めたり、作業による健康被害を減らしたりすることも目指しています。

窓を設置する作業は、とても正確さが求められるもので、1ミリ以下のずれも許されません。しかも、職人が一人前になるには約10年かかるとも言われています。作業自体は道具を使って位置を調整して図面どおりに取り付けるのですが、精度と経験が必要です。若い人たちの育成には時間がかかるうえ、職人の高齢化も進んでいます。


「Welfixer01」は窓枠を固定するブラケットも自動で設置する

溶接する「Welfixer01」

YKK APは「我々がやるしかない」という思いで、ロボットによる省人化を進めています。人手不足が深刻化するなか、正確な作業ができるロボットを使えば、品質が安定し、長時間の作業も可能になるからです。

ただし、すぐにすべての作業を自動化するのは難しいため、まずは危険な作業をロボットに任せる形で進めています。完全自動ではなく、人がロボットの作業を現場で確認したり、複数のロボットを管理するような仕組みも考えられています。

今後は、窓の搬送や設置、検査など、他の作業の自動化も目指しています。ロボットが作業しやすい形に窓枠を変えたり、新しい施工方法を考えたりすることで、建物の作り方そのものも変わっていくかもしれません。BIM(ビルの情報をデジタルで管理する技術)と連携することで、工事の進み具合に合わせた調整もできるようになります。

窓というものは、建物の内側と外側をつなぐ特別な存在です。その取り付け方法が変われば、建物全体の設計や工事のやり方も変わっていく可能性があります。YKK APは、ロボットを使った新しい施工の形を通して、建設業界の未来をつくろうとしているのです。ロボット技術の活用で、作業の安全性を高め、人手不足に対応しながら、より効率的で質の高い建物づくりを目指しています。


YKK AP(株) ビル本部 設計施工技術部 施工技術部 技術グループ 課長 梶川英孝氏(左)、同 生産本部 工機技術部 窓施工ロボット化プロジェクト シニアエンジニア 西原大樹氏(右)

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