人手に頼る食品製造に、ロボットが挑む!
本記事は日本機械学会連載「AI/Robot/IoT で変わる製造現場」のジュニア版です。
お弁当や総菜の「盛り付け」は、ほとんどが人の手で行われています。食品製造のはじめの工程では自動化が進んでいるものの、盛り付けのように細かくて変化の多い作業は、ロボットにはまだ難しいのです。
また、食品は衛生面がとても重要なため、清掃や異物混入を防ぐ工夫も必要で、自動化は簡単ではありません。
盛り付けに関わる人は30万人以上。高齢者や外国人が深夜や早朝、衛生上の理由のため温度を下げた工場で働いていることも多く、人手不足も深刻です。そこで注目されているのが、ロボットを使った自動化です。

惣菜製造はほぼ手作業で行われている。盛付作業従事者は30万人以上。
経済産業省は2021年から「ロボフレ(ロボットフレンドリー)」という取り組みを始めました。ロボットを使いやすくするために作業の工程を見直し、現場で実際に使いながら改良していくという考え方です。日本惣菜協会が中心となり、51社の食品メーカーと59社のロボット開発企業が協力して、17種類のロボットを開発しました。
たとえば、ポテトサラダやひじきを容器に指定重量だけ盛り付けるロボットや、触覚を使ってフライを揚げ油に投入したり、いなり寿司を壊さずに盛り付けたりするロボットがあります。盛り付けだけではありません。容器の準備、フタ閉め、ラベル貼り、検査、搬送など、さまざまな工程を自動化するシステムも開発されています。

ジャンボリアとFingerVisionのフライ投入兼弁当盛付ロボットシステム
このプロジェクトの大きな特徴は、実際に工場を運用する会社(ユーザー)とロボットを作る会社(ベンダー)が一緒に開発を進めていることです。現場の意見を取り入れて短期間で改善を重ね、すでに工場で実際に使われているロボットもあります。たとえば、1時間に1200食を盛り付けるロボットや、300kgの冷凍食品を運ぶロボットも登場しています。

ジャンボリアとFingerTechによるロボットはフライ投入と弁当盛付の両方に使える。稼働時間を伸ばして投資対効果を向上

デリモの麺惣菜盛付ロボット統合システム。各社でロボットを新規開発、統合した
ロボットの導入にはコストがかかるため、多くの中小企業が導入しやすいよう、安くて効果の高い機械が求められています。そのため、開発コストを下げる工夫もされています。
まだまだ課題もありますが、ロボットにすぐ完璧を求めるのではなく、社員と同じように育てていくような姿勢が大切です。一度の失敗であきらめるのではなく、改良を重ねていくことが、自動化の未来を切り開くカギになるのです。
私たちが普段食べているお弁当やお惣菜の裏側には、たくさんの人の努力と新しい技術が詰まっているのです。これから、それを支えるのがロボットになるかもしれません。