第 101 期部門長退任のご挨拶

第 101 期エンジンシステム部門
部門長
北川 敏明
(九州大学)

カーボンニュートラル社会を目指すなかでのエンジン,エンジン研究・技術開発の果たすべき役割を,エンジンシステム部門長就任時には,それまでよりもいっそう意識するようになりました.二酸化炭素排出について考えるとき,ライフサイクルアセスメントの概念が広く知られるようになりましたが,世界情勢や経済なども絡み合い,どこまでの要素を考慮すると客観的な議論となり得るのかはわかりませんが,現時点ではエンジンシステムにはいくつもの優位性があり,これからも私たちの生活に欠かすことのできないものであると考えます.したがって,いまこそエンジンシステムの性能向上,二酸化炭素排出量低減についての研究が重要です.エンジン・燃焼の最新技術を紹介する機械学会誌特集企画の依頼がエンジンシステム部門へあったことからも,そのような思いを強くしています.
しかしながら,機械学会員のエンジンシステム部門への登録者数は,この20年間減少し続けています.会員数自体減少しているのですが,会員数に対する部門登録者数の割合も減少しています.一方,電気自動車などあらたな技術開発分野も拡大していますが,エンジン開発も続ける必要があり,限られた人数と時間でこれらを同時に進めなければならないという厳しい状況になっていると思います.そうであれば,部門の活動を通じてお互いに情報交換・議論,協力するなど,部門がエンジンシステムのイノベーションに貢献できるのではないかと考えます.
そのようななか,第101期の部門の活動では,機械学会が推進している分野間連携を強化するため,年次大会では例年行っている機素潤滑設計部門とのOSに加え,あらたに,動力エネルギーシステム部門とのOSを設けました.また,2024年12月に開催する第35回内燃機関シンポジウムを,機素潤滑設計部門との分野連携企画とする申請を行い,これが採択されました.
委員会においても,講習会企画委員会は流体工学部門との連携企画として講習会を開催しました.スターリングサイクル委員会は,技術と社会部門と連携し競技会・発表会,年次大会での市民および会員向けの一般開放行事を行いました.
委員会活動では,第99期に設置された部門将来検討委員会において,エンジンシステムの将来ビジョンについてなされた議論がとりまとめられ,これを部門内で共有しつつ,引き続き,委員会において議論を進めるべく,部門運営委員会に報告されました.国際企画委員会では,COMODIAを2025年12月に開催することを決定し,実行委員会が活動を始めました.また,ここに記していない委員会,研究会もそれぞれ,精力的に活動されました.
さらには,前述の機械学会誌2024年5月号特集のために,小酒英範先生に学会誌特集企画小委員会を組織し,企画頂きました.
このように部門の活動に携われた委員会,部門会員のみなさま,そして,運営をとりまとめ頂いた総務委員会幹事の窪山達也先生に,厚くお礼申し上げます.ありがとうございました.
第102期は,三上真人先生が部門長を務められます.持続可能な社会に貢献するエンジンシステム部門であるように,会員のみなさまのご協力をお願いいたします.


第 102 期部門長就任のご挨拶

第 102 期エンジンシステム部門
部門長
三上 真人
(山口大学)

 第102期エンジンシステム部門長を拝命しました山口大学の三上真人です.会員の皆様におかれましては,平素から本部門の活動へご理解,ご協力を賜りまして誠に有り難うございます.部門幹事の今村宰先生(日本大学)・副部門長の川那辺洋先生(京都大学)と力を合わせ,総務委員会および運営委員会委員を中心に,各委員会および部門代議員の協力を仰ぎながら,本部門がエンジンシステム分野の魅力を発信し続けるよう2024年度の部門運営を進めて参る所存です.
ご存じのとおり,2050年のカーボンニュートラル達成は世界的な課題です.自動車業界ではCASEの変革にさらされるとともに,社会全体ではAIの急速な発展により,産業構造も変わりつつあります.エンジンシステムもこのような潮流の中で対応を迫られており,社会システムも含めた変革が進められつつあります.このような変革期にこそ,叡智を結集する場である学会の役割が重要です.本部門では,第99期の小酒英範部門長(東京工業大学)のもとで設置された部門将来検討委員会において,第100期・第101期には小酒委員長のリーダーシップのもとエンジンシステムの長期ビジョンが議論されてきています.その目的は,社会で共有できるエンジンシステムの将来ビジョンを示し,この実現に向けてこれにかかわるすべての分野と協働するために必要な技術課題,人材育成課題,産学連携課題を明確化することです.そして,今期は相澤哲哉委員長(明治大学)のもと,今後10年間でこれらの課題に対応するための具体的な部門活動施策案を部門へ提言すべく,引き続き議論が行われる予定です.これまでの議論を広く周知し,さらに議論を活性化するためにも,昨年度まとめられた報告書の内容を何らかの形で会員の皆様に届けることを考えております(注1).また,本年12月10日~12日に福岡市で開催予定の第35回内燃機関シンポジウムにおいても,関連行事の企画を検討しています.多くの皆様のご参加と活発な議論を期待します.
個人的には,ブレークスルーに繋がる真に新しい考えは,従来の延長ではなく不連続なところにあり,それは混沌としたカオスの中から生まれる(見出される)のだろうと考えています.同じような狭い領域の中の人達の集まりは短期的には成果を生み出す確率は高いでしょうが,生物の進化と同様,環境の急激な変化にはむしろ弱いかもしれません.短期的な効率は低くなったとしても,工学系他分野だけでなく文系分野も含んだ異分野連携の重要性は今後益々高まるものと考えます.日本機械学会が部門間や他学会との連携を推奨するのは理に適っていると考えます.本部門では今期は,年次大会において機素潤滑設計部門との合同OS,動力エネルギーシステム部門および熱工学部門との三部門合同OS,技術と社会部門と連携した市民フォーラムを企画しておりますうえ,内燃機関シンポジウムでは機素潤滑設計部門との連携企画を行う予定です.
部門の発展には部門の国際化も重要です.コロナ禍において開催時期が変則的となった国際会議のCOMODIAについては,定常的な開催時期に戻し,2025年度開催に向けて準備を進めております.また,国際誌のInternational Journal of Engine ResearchのIMechEおよび自動車技術会との共同編集と論文投稿促進を推進いたします.
最後になりましたが,本部門では上記の企画の他にも,本年度もスターリングサイクルシンポジウム,部門講習会,基礎講習会を企画しております.ぜひご参加のうえ,情報交換を行うとともに,エンジンシステム分野の将来について熱く議論を行いましょう.本部門活動への会員の皆様の積極的なご参加と将来に向けた忌憚のないご意見を賜りますよう,お願い申し上げます.

注1)以下に部門将来検討委員会2023年度報告書を掲載しました(2024.5.16).
https://www.jsme.or.jp/esd/activity/future/

 


<歴代部門長一覧>

年度 氏名 就任時の所属
67 1989 池上 詢 福井工業大学
68 1990 池上 詢 福井工業大学
69 1991 村山 正 北海道自動車短期大学
70 1992 村山 正 北海道自動車短期大学
71 1993 廣安 博之 近畿大学
72 1994 廣安 博之 近畿大学
73 1995 浜本 嘉輔 岡山大学
74 1996 辻村 欽司 千葉工業大学
75 1997 神本 武征 東京工業大学
76 1998 藤本 元 同志社大学
77 1999 河野 通方 東京大学
78 2000 宮本 登 北海道大学
79 2001 西脇 一宇 立命館大学
80 2002 三輪 恵 徳島大学
81 2003 井上 悳太 (株)コンポン研究所
82 2004 大聖 泰弘 早稲田大学
83 2005 塩路 昌宏 京都大学
84 2006 新井 雅隆 群馬大学
85 2007 角田 敏一 大阪府立大学
86 2008 青柳 友三 (株)新エィシーイー
87 2009 飯田 訓正 慶應義塾大学
88 2010 堀 正彦 (財)日本自動車研究所
89 2011 村瀬 英一 九州大学
90 2012 冨田 栄二 岡山大学
91 2013 後藤 新一 (独)産業技術総合研究所
92 2014 石山 拓二 京都大学
93 2015 畔津 昭彦 東海大学
94 2016 小川 英之 北海道大学
95 2017 千田 二郎 同志社大学
96 2018 西田 恵哉 広島大学
97 2019 森吉 泰生 千葉大学
98 2020 志賀 聖一 (一財)地域産学官連携ものづくり研究機構
99 2021 小酒 英範 東京工業大学
100 2022 津江 光洋 東京大学
101 2023 北川 敏明 九州大学
102 2024 三上 真人 山口大学