第 100 期部門長退任のご挨拶

第 100 期エンジンシステム部門

部門長
津江 光洋
(東京大学)

新型コロナ感染拡大による様々な活動制限からようやく脱却しつつある状況下の2022年度に,エンジンシステム部門長に就任致しました.オンラインの非対面活動には慣れていましたが,大学の講義や各種会議などハイブリッドも含めた対面での活動が再開される中,部門活動をどのように進めていけば良いのかが悩ましいところでした.しかしながら,機械学会の方針がある程度確立されたこともあり,年次大会が富山大学で対面開催され,また当部門が主催する内燃機関シンポジウムも対面開催されるなどコロナ前と同様な活動に戻る一方,COMODIAがハイブリッドで開催され,部門の運営委員会や講習会などはオンライン開催を継続するという活動形態に落ち着きました.今後も対面とオンラインのそれぞれの特性を生かした開催形態が模索されるものと思います.COMODIAのハイブリッド開催が盛況のうちに実施されたことは大変喜ばしいことではありますが,個人的な意見としては,現状ではハイブリッド開催は準備が大変で,参加していてもなんとなく発言しにくい印象です.ただし,慣れてくればハイブリッド開催が主流になるかもしれないとは思いますが,懇親会は対面でお願いしたいです.
カーボンニュートラル社会の実現という課題に対して当部門がどのように寄与していくべきかという観点から,2021年度に小酒元部門長を中心に部門将来検討委員会が設置され,中長期的な活動方針が議論されております.大学の立場から申し上げますと,研究活動(あるいは研究者)には多様性が必須であり,すべてが同じ方向を向いているのは不健全であるように思います.エンジンシステムという研究分野の基礎を維持しながら,自由に研究を行う部門構成員の緩やかな連携が部門(組織)全体の活性化,ひいては社会的課題への貢献につながるものと信じております.それが部門間連携から部門統廃合,新部門設立などの具体的な解決策となるのであれば,それはそれで良いのかもしれません.
最後に,部門長在任時に運営委員会活動にご協力いただいた総務委員会幹事の中谷先生をはじめ運営委員会委員の皆様,および部門構成員の皆様に改めてお礼申し上げまして,退任の挨拶といたします.


第 101期部門長就任のご挨拶

第 101 期エンジンシステム部門
部門長
北川 敏明
(九州大学)

第101期エンジンシステム部門長を仰せつかりました.幹事の千葉大学 窪山達也先生,総務委員会,運営委員会のみなさまとともに部門の運営を進めます.エンジンシステムには,これまでもずっと熱効率向上,有害排気低減を課題とし性能の向上が進められてきましたが,二酸化炭素を排出するエンジンへは厳しい目が向けられ,カーボンニュートラルが最も重要な課題となっています.
カーボンニュートラル社会の実現を目指すなか,一次エネルギー構成比率なども含めエネルギーシステムさらには社会全体として具体的にどのような道筋をたどり,どのような形で目標を達成しようとしているのかは,立場や国・地域によってもまちまちであり依然として流動的でもあります.自動車についてはエンジン搭載車の販売禁止の動きもありますが,あらゆる分野の動力システムにおいて現時点ではエンジンシステムにはいくつもの優位性があり,これからも私たちの生活に欠かすことのできないものであると考えます.したがって,エンジンの高効率化,二酸化炭素排出量低減,カーボンニュートラル化を可能な限り推し進める必要があるとともに,それに対する社会からの要求も続くと考えます.COMODIA2022や第33回内燃機関シンポジウムが盛会であったことは,現時点でのエンジンの必要性,期待の高さを物語っています.他の動力システムに画期的な革新があれば,エネルギー事情は一気に変わるかもしれませんが,エンジンシステムにも今後もいっそうの飛躍があると信じます.
燃焼をはじめとする要素技術,エンジンシステムとしてのハイブリッド技術,さらには,再生可能エネルギー由来の合成燃料などがあるなか,今後どのように高効率化,二酸化炭素排出量低減,カーボンニュートラル化を推し進めていくかは,自動車,船舶,航空機,定置用などの用途,また,国や地域などの状況に応じて,最適な組合せが選択されることになると考えます.そのためには,いうまでもなく,個々の技術のさらなる進展,新たな発想に基づく技術の創出が必要であり,エンジンシステムとしての研究が重要です.
日本機械学会では,2020年から試行されていた新部門制が本年度から実施されます.ここでは,複数の部門間連携が重要です.これについては,本年度は,年次大会においてオーガナイズドセッションを,これまでの機素潤滑設計部門とのものに加え,動力エネルギーシステム部門とのセッションも設けています.また,熱流体計測技術に関する講習会を流体工学部門と連携して企画しています.部門活動が3年ごとに評価されるということもありますが,あらたな技術の創出に有用と考えられる他分野との連携を強化したいと考えます.
このようななか,いまから進路を決めようとしている学生,若いエンジニアにとって,エンジンシステムが夢や希望の抱ける魅力のある分野であり続けないといけません.
部門運営について,みなさまのお考えをお聞かせ願います.この一年間,微力ながら少しでも部門に貢献できるよう務めますので,どうぞよろしくお願いいたします.

 


<歴代部門長一覧>

年度 氏名 就任時の所属
67 1989 池上 詢 福井工業大学
68 1990 池上 詢 福井工業大学
69 1991 村山 正 北海道自動車短期大学
70 1992 村山 正 北海道自動車短期大学
71 1993 廣安 博之 近畿大学
72 1994 廣安 博之 近畿大学
73 1995 浜本 嘉輔 岡山大学
74 1996 辻村 欽司 千葉工業大学
75 1997 神本 武征 東京工業大学
76 1998 藤本 元 同志社大学
77 1999 河野 通方 東京大学
78 2000 宮本 登 北海道大学
79 2001 西脇 一宇 立命館大学
80 2002 三輪 恵 徳島大学
81 2003 井上 悳太 (株)コンポン研究所
82 2004 大聖 泰弘 早稲田大学
83 2005 塩路 昌宏 京都大学
84 2006 新井 雅隆 群馬大学
85 2007 角田 敏一 大阪府立大学
86 2008 青柳 友三 (株)新エィシーイー
87 2009 飯田 訓正 慶應義塾大学
88 2010 堀 正彦 (財)日本自動車研究所
89 2011 村瀬 英一 九州大学
90 2012 冨田 栄二 岡山大学
91 2013 後藤 新一 (独)産業技術総合研究所
92 2014 石山 拓二 京都大学
93 2015 畔津 昭彦 東海大学
94 2016 小川 英之 北海道大学
95 2017 千田 二郎 同志社大学
96 2018 西田 恵哉 広島大学
97 2019 森吉 泰生 千葉大学
98 2020 志賀 聖一 (一財)地域産学官連携ものづくり研究機構
99 2021 小酒 英範 東京工業大学
100 2022 津江 光洋 東京大学
101 2023 北川 敏明 九州大学