日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第128号(2025年認定)
円弧状車体で軽量化を実現した東急5000系電車
東急車輛製造(株)(現 (株)総合車両製作所)は、1954( 昭和29)年、東急東横線のスピードアップに向けて通勤用の全鋼製高速電車(東急5000 系)を開発した。
この開発では同社の元航空技術者たちが、「鋼製車の車体側面は垂直平面内に形成される」という従来の直線コンタ(直線状車体断面)の不文律を打破して、初めて曲線コンタをもつ円弧状車体断面の張殻構造を採用した。電動車を10トン以上軽量化したため、「超軽量電車」と称された。車体の軽量化は時速105kmでの走行を実現し、渋谷-桜木町間を34分で結ぶ大幅な時間短縮に貢献した。
それまで四角い箱であった鉄道車体を丸い筒にした斬新さから「翼のない飛行機」、また、その色と形から「青ガエル」の名称で親しまれた。この基本技術は、後の小田急3000形や新幹線0系などの高速車両のみならず、在来線車両にも採用され、現在でも事実上の標準技術として広く利用されている。本機は、1954年から1959年にかけて105両が製造されたもののうち、1956(昭和31)年製造の車両であり、東急電鉄で使用された後、長野電鉄で再利用され、引退後、(株)総合車両製作所(横浜事業所)に保存されている。
《写真提供:株式会社総合車両製作所》
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