日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第130号

信州大学繊維学部の絹糸紡績機械群

 絹糸けんし紡績は繊維長の長い繊維を紡績する技術である。日本の絹糸紡績は、1877(明治10)年、官営新町屑糸紡績所しんまちくずいとぼうせきじょの創設に始まる。絹糸紡績業は、繭および生糸の生産過程で発生する副蚕糸(きびそ、びす、出殻繭等)を原料として絹紡糸を生産するため、蚕糸業(養蚕・製糸)の副次的な産業と見なされ、蚕糸業とともに発展してきた。
 1913(大正2)年に開校した官立の上田蚕糸専門学校(現 信州大学繊維学部)の製糸科の絹糸紡績実習のために英国から輸入されて設置された絹糸紡績機械群(グリーンウッド・バトリー社製)は、絹糸紡績技術の歴史を語る上で現存する国内最古級の機械群である。この内の円形梳綿そめん機は国産(石井鐵工所いしいてっこうしょ製)である。同校において、多くの絹糸紡績技術者養成に使われ、現在も絹糸紡績実習や研究用に使われている。
 絹糸紡績の工程は、洗練、製綿、前紡、紡績仕上げの4工程に大別されるが、当該機械群は、製綿から紡績仕上げまでの一式(全11機種:開綿機、大切綿機、小切綿機、円形梳綿機、延展機、製條機、練條機、始紡機、再紡機、リング精紡機、リング撚糸ねんし)が揃っている。

《写真提供:国立大学法人信州大学》

非公開(原則)

信州大学繊維学部 繊維教育実験実習棟

開館時間:
8:30~12:00/13:00~17:00 ※見学希望の場合は事前に要連絡
入場料:
休館日:
土日、祝日、年末年始、夏季一斉休暇
住所:
〒386-8567 長野県上田市常田3丁目15-1
電話番号:
0268-21-5300
HPアドレス:
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/
交通機関:

しなの鉄道 上田駅 お城口から徒歩約20分

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